セ・リーグ独走の阪神に死角あり 伊勢孝夫が指摘する「タイガース打線の不安要素」 (3ページ目)
これは阪神投手陣に限らずかもしれないが、酷暑の8月は選手の体力を蝕む。その時、打線がどれだけ援護できるかが重要になる。優勝を目指して走っているチームでも、必ず"エアポケット"に入ったように、パタっと打てなくなる時期が来る。追いかけるチームからすると、その時に手の届くゲーム差まで縮めておかなければいけない。
それにしても、今シーズンの本塁打の少なさは、いったいどうしたことだろう。セ・リーグでは90試合ほどを消化した時点で、阪神と巨人以外の4チームが50本に満たないというのは異常な状況だ。もしかして、また"飛ばないボール"を使い始めたのではないか......そんな疑念を、半ば本気で抱いている。
いずれにせよ、昨年DeNAが3位からクライマックス・シリーズを勝ち抜き、日本シリーズも制したように、シーズン終盤からポストシーズンの戦いはまた別物だ。はたして、シーズン終盤にかけて勢いをつけるのはどのチームなのか。そういう視点も含め、後半戦の戦いを見守っていきたい。
伊勢孝夫(いせ・たかお)/1944年12月18日、兵庫県出身。63年に近鉄に投手として入団し、66年に野手に転向した。現役時代は勝負強い打撃で「伊勢大明神」と呼ばれ、近鉄、ヤクルトで活躍。現役引退後はヤクルトで野村克也監督の下、打撃コーチを務め、92、93、95年と3度の優勝に貢献。その後、近鉄や巨人でもリーグを制覇し優勝請負人の異名をとるなど、半世紀にわたりプロ野球に人生を捧げた伝説の名コーチ。現在はプロ野球解説者として活躍する傍ら、大阪観光大学の特別アドバイザーを務めるなど、指導者としても活躍している
著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。
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