独立リーグの茨城アストロプラネッツはなぜ2年続けてNPBドラフトで支配下指名されたのか? (2ページ目)
「まずは打席数を与えることが必要です。バットが金属から木製に変わるし、同じ140キロのストレートでもそこに織り交ぜられる変化球の質や種類が断然レベルアップします。去年の日渡、今年の陽柏翔も7月頃まで結果が出ず、チームも勝てなくて非常に苦しかった。それでも逃げさせず、自分と向き合わせることを徹底的にやりました」
陽はBCリーグでなかなか結果を出せず、徐々にスイングが小さくなっていった。いい当たりが出ないためにヒットをほしがり、当てにいくようなスイングになる。苦しむ陽を見て、色川GMは声をかけた。
「僕が君を獲ったのは、そういう小さいスイングしてもらうためじゃないよ。ヒット1本打ったとか、どうでもいいんだ。君のスイングに魅了されて獲っているから、バットのことは気にするな」
【徹底したフィジカル強化】
じつは入団時、陽は木製バットを1本しか持っていなかった。経済的に恵まれず、金銭的な余裕がなかったからだ。唯一のバットを折りたくないこともあり、スイングが小さくなっていった。
そこで色川GMは球団のスポンサーに相談すると、「バットの1、2本くらいなら買ってあげるよ」と協力者を見つけた。
後半戦に入ると、陽は打撃成績を向上させていく。前半戦(4月6日〜6月19日)と後半戦(6月20日〜9月4日)の各27試合の成績を比べると、成長は明らかだ。
・前半:打率.213/出塁率.278/OPS.537
・後半:打率.286/出塁率.350/OPS.734
もちろん、成績上昇の理由はバット以外にもある。アストロプラネッツはチーム方針として徹底的なウエイトトレーニングと食事の管理により、筋肉量を増やしてパワーアップさせていくのだ。
球団がドラフト候補の全選手について作成してNPB球団に渡しているスカウティングレポートを見ると、陽の成長は顕著にわかる。4月から9月の変化で、体重は「71キロ→75キロ」、「筋肉量は59キロ→64キロ」。
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