独立リーグの茨城アストロプラネッツはなぜ2年続けてNPBドラフトで支配下指名されたのか? (4ページ目)
打撃面ではBCリーグ2位の12本塁打、OPS.869を記録するなど長打力を持ち味とする一方、確実性の向上に改善の余地があった。バットのヘッドが遠回りする課題があり、5月頃には打率2割を切ったからだ。
そこで6月からスイング軌道を可視化する「ブラスト」をグリップエンドにつけ、改善を図った。具体的に行なったのは「オンプレーン率」の向上、つまり投球を"線"で捉えるためのスイングだ。色川GMが説明する。
「オンプレーン率が上がれば上がるほど、打球の弾道が下がることに気づきました。大友の特徴を生かすにはどういうスイングがベストかと考え、当初65%だったオンプレーン率は75%くらいがいいだろうと。そうして最終的に打率.244まで上がり、長打力を発揮することもできました」
大友はフィジカルの強化にも取り組み、体重85キロで筋肉量71.1キロ、体脂肪率12.8%に。身長181センチの「捕手では珍しい5ツールプレイヤー」としてドラフト会議を迎えた。
残念ながら支配下での指名はなかったが、前述したようにソフトバンクが育成3位で指名する。色川GMは「痛恨の極み」と語るが、育成からでもチャンスはある。まずはスタートラインに立つことができ、ここから先は本人次第だ。
「あの年齢(25歳)の選手を逆に育成で獲ってくれるという奇跡を起こしてくれ、ソフトバンクさんには感謝しかないです。これからは大友次第なので、本人が"成功"にしてくれると思います」(色川GM)
ひと言で「独立リーグ」と言っても30以上の球団があり、そのカラーはさまざまだ。
そのなかでなぜ、茨城アストロプラネッツは毎年のようにドラフトで指名されているのか。その理由はNPBに「欲しい」と思ってもらえるように育成し、アプローチしているからだ。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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