【日本シリーズ2024】1998年マシンガン打線より「迫力は上」と石井琢朗コーチ 「なんでこのチームが3位なの?」DeNAが驚きの覚醒 (4ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu

【本拠地横浜で最終決戦へ】

 ただ、シリーズはここからが難しい。1998年の第6戦は勢いに乗ったマシンガン打線を持ってしても、ライオンズのエース西口文也(現監督)に完璧に近い形で封じ込まれ、終盤に駒田徳広の長打一本で苦しい接戦を勝ちきっている。王手をかけてからの難しさを、身をもって経験したという鈴木コーチは、今後の戦いに思いを寄せる。

「やっぱり、僕らもそうだったけどね。イケイケでやれていても、あとひとつという意識は絶対にあるし、いつもと違う緊張感も絶対に生まれてくる。それはあるものとして、そのなかでどれだけ自分たちが平常心で、いつもの自分たちのプレーをできるかどうか。今の選手のみんなにはそれができますよ。明るいしね。ウチらしくやってほしいですよ。あとは選手たちが思いきりプレーできるように、僕らが背中を押してやれたらと思っています」

 2024年のベイスターズ選手には、桑原や筒香など2017年の日本シリーズを経験し、今のチームを引っ張る存在があるだけでなく、三浦大輔監督をはじめとする1998年の優勝メンバーがその背中を支えてくれている。

 ペナントレースの悔しさから、クライマックスシリーズの快進撃、そして日本シリーズもベイスターズらしい痛快な野球でここまできたのだ。

 泣いても笑ってもあとひとつ。最終章のレポートは、本拠地・横浜スタジアム担当のライター石塚隆さんへとバトンを託し、福岡編はここらで筆を置くこととする。

著者プロフィール

  • 村瀬秀信

    村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)

    1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。

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