【日本シリーズ2024】DeNA連敗脱出 桑原将志が呼び込んだ勢い 「チャンスのあとにチャンスを作れ」 (2ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu

【今の雰囲気では勝てない...飛ばした檄】

 桑原は、連敗後の選手ミーティングで「今の雰囲気ではソフトバンクに勝てない。負けて悔しくないのか」と選手たちに檄を飛ばしていた2017年のシリーズ経験者でもある。

 このシリーズ1、2戦ともにプレーボール直後、「勝利の輝き」が終わらないうちに初球を打って凡退していたが、この第3戦も攻める姿勢は揺るがない。2球目のストレートを叩いた打球はライト線を破るツーベースとなった。

「(早いカウントから仕掛けていることは)特別に意識していることじゃなくて、打ちにいってはやめる、打ちにいってはやめるということをやれているだけですね。僕の役割はどの打席でも塁に出て後ろに回すこと。ただ今日は先攻ですし、初回に僕が塁に出れば打線は回るし、先制点を取れる確率が格段に上がるとは思いますけどね」

 初回無死2塁のチャンスとなり、2番の梶原に送りバントというシーズンでは考えられない作戦を取ったのも、それだけ先制点がほしいという表われでもあった。続く牧秀悟のショートゴロの間に、ベイスターズは、このシリーズどうしてもほしかった先制点と、試合の主導権を初めて手に入れる。

 キャプテンの牧も初回の攻撃を振り返る。

「2連敗して敵地に入ってきたので、"ひとつギアが上がった"じゃないですけど、試合前から全員『絶対に負けらんない』と気持ちも入っていましたし、そんななかで初回に桑さんがツーベースで出塁してくれて、またチームにスイッチが入ったような気がしましたね」

 1回裏には流れを手放しかねないミスでソフトバンクに同点に追いつかれてしまうも、2回は先頭打者のヒット性の当たりを、桑原が今度はダイビングキャッチで好捕と流れを渡さない。

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