篠塚和典が巨人投手陣を分析 菅野智之復活の理由、優勝争いのキーマン、ドラ1ルーキーの起用法は? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【未勝利の赤星は「素直すぎる」】

――3人に続く勝ち星を挙げている井上温大投手(7勝)、フォスター・グリフィン投手(6勝)はいかがですか?

篠塚 井上もグリフィンも、ピッチングが安定してきましたよね。あとは、ローテーションの谷間で投げるピッチャーがしっかり投げてもらわないと。ヨアンデル・メンデスが(9月8日の)DeNA戦で先発して1回持たずに降板しましたが、谷間とはいえ、首脳陣も期待してマウンドに送り出していると思うんです。それでああいうやられ方をしてしまうと、どうしてもチームのテンションが下がってしまいますよ。

――未勝利(0勝7敗)の赤星優志投手はどう見ていますか?

篠塚 投げ方がちょっと素直すぎるかなと。150km以上(今季最速154km)の真っすぐを投げるので、もう少し抑えていてもおかしくないと思うのですが......投げ方がきれいすぎますよね。バッターからすると、タイミングが取りやすいんじゃないかと思います。

 時にはクイックで投げて、バッターのタイミングを外そうとするピッチャーもいますが、そういった工夫を泥臭くしていくべきです。あと、これは赤星に限ったことではないですが、ピッチャーにはバッターに向かっていく姿勢が必要だと思います。精神論を語るつもりはないのですが、やはり気持ちが入ったボールは違いますし、気持ちを入れて腕を強く振られると、バッターは手を出してしまったりしますからね。

 谷間の先発では、ファームにいるドラ1(2019年)の堀田賢慎、横川凱、又木鉄平らも含め、先発が上積みできていない。だから今いる先発がフル回転しないと勝ち星を積み上げていけません。

―― 一方でリリーフ陣はいかがですか? 今季はアルベルト・バルドナード投手、高梨雄平投手、船迫大雅投手、カイル・ケラー投手などが40試合以上登板しています。

篠塚 そのピッチャーたちの頑張りも大きいですし、リリーフ陣が安定しているからこそチームは今の位置にいると思います。それと、大勢が後ろにいてくれることが大きい。故障があったり、調子が上がらなくて一軍と二軍を行き来したりもしていましたが、彼が一番後ろにいることで、先発もセットアッパーも「何イニング投げればいいか」「どのイニングを任されるか」と、だいたいの心づもりができます。

 大勢がいない時期にバルドナードも頑張っていましたが、投げてみないとわからないところがありました。とにかく今季は先発もリリーフも、ピッチャー陣は全体的に安定していますね。

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