プロ野球選手から大学准教授へ 元楽天・西谷尚徳の教育者としての原点「指導という分野に教育学を入れたかった」 (2ページ目)

  • 飯尾哲司●文 text by Iio Tetsuji

── 楽天に在籍中、明星大学の通信教育で修士課程を修了しているのですね。

西谷 右ヒジ靱帯移植手術で棒に振った3年目に準備して、楽天5年目と阪神1年目の2年間で取得しました。

【活躍するためのロジックを言語化する授業】   

── 阪神を2010年シーズン限りで引退後、どうしたのですか。

西谷 履歴書は結構な数を書きました。出版社や塾の講師など、アルバイトやパートを経験しました。ただ、そういう時期を過ごしていくなかで、やっぱり自分は教育だなと立ち戻りました。給料がない「魔の期間」は幸運にも引退後3カ月で終わり、掛け持ちだったとはいえ、2011年4月より多摩大聖ケ丘高校で国語、明星大学の体育、立正大学の文章表現指導をそれぞれ非常勤講師として授業を持たせてもらいました。

── プロ・アマの講習会を3日間程度講習すれば、高校生以上を指導できる「学生野球資格回復制度」も受講したのでしょうか。

西谷 2013年に立正大法学部教員に正式に着任しましたので、専任教員なら申請すれば受講しなくても「学生野球資格」を回復できます。大学生までは、あくまで「学校教育のなかの野球」です。生活態度がきちんとしていなかったら、野球技術も上達しないし、チームも強くならないと思っています。これは野村克也監督と同じ考えです。

── 2018年から法学部准教授になられたそうですね。

西谷 1年生にはレポート・論文作成の学究的な書き方である「アカデミック・ライティング」を、2年生ではゼミや「フィールドワーク(実地での観察)」の授業を教えています。

── かつて、陸上アスリートの前で講演をしています。

西谷 「インプット」「シンク(考える)」「アウトプット」の3本立て──なぜそうなったのかという根拠や振り返りを言語化し、論理立てて指導者に説明できれば、意思の疎通が図れると思うのです。

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