村上宗隆はなぜ53打席も本塁打が出なかったのか? サトテルが打率1割台と苦しんでいる理由は? 名コーチ・伊勢孝夫が解説 (2ページ目)
それでも巨人との初戦では、大勢の外角高めにストレートに空振り三振を喫し、2戦目は菅野智之の横の揺さぶりにやられて三振するなど、しっかり打ち取られる場面もあったが、やはりまともに勝負されるケースは少ないと言える。
そしてもうひとつ考えられるのが、今シーズンに臨む気持ちだろう。どんな打者でも、開幕してからヒット1本出るまでは、「今年は打てるだろうか」と不安になる。一軍のレギュラークラスの選手なら、そんな心配は無用だと思うのだが、それでも打率が.000だと気が焦るものだ。
ましてや、村上は一昨年に三冠王を達成した打者だ。早く一発打って、気持ちよく試合に臨んでいきたかったはず。加えて、昨シーズンは31本塁打で自身としては満足いかないシーズンだっただけに、リセットしてガンガン打ちたい思いもあっただろう。それでも前述したように、1本出ればラクになるから、今後は量産していくのではないだろうか。
いずれにせよ、今季の村上は現状のスイングができている限り心配ない。もちろん長いシーズンのなかで好不調の時期はあるだろうが、終わってみれば40本以上打てると思っている。
ここまで打率1割台と精彩を欠く阪神・佐藤輝明 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【オープン戦の打ち方ができていない】
一方、心配なのは佐藤のほうだ......というより、「何をしているのかな」と思っている。
オープン戦で見た時は、じつにいいスイングをしていた。オフにシアトルにある「ドライブライン」というトレーニング施設に行って、打撃フォームをイチから見直したという話を聞き、楽しみにしていた。実際、下半身にタメができ、捻(ひね)りも加わっていいスイングになっていた。
「やっとバッティングというものが、少しはわかってきたかな」
そんなふうに思ったものだ。
この時のバッティングを説明するとこうなる。佐藤はバットを高い位置で構えてから、左肩の位置まで降ろしている。その際、軸足にしっかり体重が乗り、絞りが入った状態になっていた。よく横からカメラで撮影したとき、股関節のところにユニフォームのシワが映るのだが、これは下半身主導でバッティングする際のチェックポイントと言ってもいい。
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