【真中満のパ・リーグ順位予想】西武が大躍進にソフトバンクは「Bクラス」...オリックスの「山本由伸の穴」は不安なし (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【3年目の新庄ファイターズがパ・リーグをかき回す!?】

ーー続いて、5位は今江敏晃監督が就任したイーグルスです。

 イーグルスの場合も、投手陣が高齢化しつつあるのが気になりますね。岸孝之が今年40歳になる。田中将大は36歳、則本昂大は34歳。今年あたり、荘司康誠、早川隆久が完全に独り立ちできるようになると浮上の目もあるんですけど、まだ現状ではそこまでいっていない。

ーー松井裕樹選手のメジャー移籍によって、則本投手が新たにクローザーとなりました。

 則本のクローザー転向はいい選択だったと思います。スピードがあって三振がとれて、馬力がある。連投もできるでしょうから、ここに関して心配はないです。

ーー一方の打撃陣はいかがでしょうか?

 正直言えば、いつまで経っても「浅村栄斗頼み」という感じがありますね。阿部寿樹や島内宏明、岡島豪郎も30代半ばで、早く若手が台頭してきてほしい。ここ数年は、ずっとそんな打線が続いていて、今年も目ぼしい若手は見つからないですね。

 僕が言いたいのは、今江監督はまだ40歳。選手との距離も近いので、監督1年目は遠慮することなく、どんどん自分のやりたい野球をやってほしいということです。

ーー続いて6位は、就任以来2年連続最下位の新庄剛志監督率いるファイターズです。

 僕は最下位予想にしましたけど、ここ2年に比べて戦力は確実にアップしています。昨年までなら「Aクラスは厳しいな」というイメージだったけど、今年は「Aクラスもある最下位予想」というのが正直なところ。確実にチーム状態は上向いていますよ。

ーー具体的にはどんな点でしょうか?

 松本剛、万波中正は完全に新庄監督の下で独り立ちしましたよね。さらに僕が期待しているのはプロ6年目の野村佑希。もともと、バッティングセンスは光るものがあったけど、なかなかひと皮むけていない。一塁やレフトを守ることも多いけど、サードで固定したほうがバッティングにもいい影響を与えると思いますが、スローイングについて首脳陣からの評価が低いのかもしれない。今年は野村に期待しています。

ーー投手陣についてはいかがでしょうか?

 もちろん、上沢直之の移籍は大きいけど、その分、今年は伊藤大海を中心にローテーションを組んでいくことになりそうです。去年は田中正義がクローザーとしてめどが立ったので、そういう意味では新庄監督も継投がかなりラクになったはず。

 パ・リーグ5球団と比較すると、ちょっと苦しい部分はあるけど、それでも新庄監督就任以来、今シーズンがもっとも戦力的に充実しているので、パ・リーグをかき回してほしいですね。

ーー次は古巣・スワローズの戦力を分析していただきます。まずは、野手陣から。

第3回<ヤクルト打線は「忖度なしでセ・リーグNo.1」 真中満が考えるベストオーダーは「6番・山田哲人」>

第1回<【真中満のセ・リーグ順位予想】巨人は「Bクラス」も打倒・阪神の「一番のダークホース」 中日、ヤクルトは躍進>

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【プロフィール】
真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県出身。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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