近藤健介の突出した選球眼と技術力に秦真司は脱帽 苦しむ4番の村上宗隆には「つなぎ役に徹するもの一手」と提案【WBC2023人気記事】

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

「PLAYBACK WBC」Memories of Glory

 昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります

 日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第3戦でチェコ代表と対戦し、10対2で下して3連勝を飾った。初回にエラーが絡んで1点を先制された日本だが、3回に5番・吉田正尚、6番・山田哲人の連続タイムリーで3点を奪って逆転。4回には2番・近藤健介、3番・大谷翔平の連続タイムリーなどで4点を加えた。さらに5回には途中出場の牧原大成のタイムリー、8回には代打・牧秀悟のソロ本塁打などでリードを広げた。

 投げては、先発の佐々木朗希が球数制限を迎えた4回途中まで1失点と好投。4回二死から登板した宇田川優希が打者1人をきっちり抑えると、5回から登板した第2先発の宮城大弥が5回1失点で最後まで投げきった。試合のポイントはどこにあったのか。1984年ロサンゼルス五輪金メダリストで、ヤクルトなどで活躍した秦真司氏に聞いた。

WBC初戦の中国戦から好調な近藤健介WBC初戦の中国戦から好調な近藤健介

【近藤と吉田の突出した選球眼】

 チェコの先発オンジェイ・サトリア投手は、真っすぐは120キロ台後半と見た目のすごみはありませんでしたが、チェンジアップがすごくよかったです。腕の振りがすばらしく、ボールがなかなか来ないので、日本の打者は「打ちたい」という心理から強引さが出てしまいました。そこに緩い球がうまくはまり、序盤は打ちあぐねます。

 3回、そうした状況を打開したのが近藤選手と吉田選手でした。一死から近藤選手がライトへの二塁打で出塁し、4番の村上宗隆選手が四球で出たあと、吉田選手がレフト線に2点タイムリーを放って逆転しました。

 近藤選手と吉田選手は選球眼が突出して高く、追い込まれても粘りの打撃ができるので、相手は非常に嫌なのではないかと感じました。開幕前に鈴木誠也選手がケガで辞退となったなか、1番のラーズ・ヌートバー選手、3番・大谷選手という好調の両者の間に入る近藤選手は、選球眼だけでなくバッティング技術の高さが光ります。侍ジャパンのなかで、より輝きが増している印象を受けました。

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