「ヤクルトに足りないもの」を髙津臣吾監督が真中満に明かす 2024年は「選手たちの尻をどんどん叩いていく」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • 田中 亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【来季は積極的に選手の尻を叩く】

真中 オフには西川遥輝、嘉弥真新也らが加入しました。もちろん、新戦力に対する期待も大きいですよね。

髙津 彼らの加入は本当に大きいですね。編成にも「左投手がほしい」「足が使える選手が必要だ」と頼んでいたので、彼らには本当に期待しているし、ぜひフル回転で使いたいと考えています。ルーキーや新外国人選手の場合、どうしても、やってみなければわからない部分があるけど、他球団からの移籍選手の場合は、ある程度の計算が立つ部分があるので、その点はすごく期待しています。やっぱり、新しい人が新しいスワローズをつくっていくんだと思いますから。

この記事に関連する写真を見る真中 監督自身は、就任初年度には最下位になったけど、2年目には日本一、3年目には日本シリーズは敗れたけど、セ・リーグ連覇も達成しました。最下位の悔しさ、日本一を逃した悔しさ、そして、5位に終わった悔しさ......。この悔しさをバネにして2024年シーズンに臨むわけですね。

髙津 うれしいこととか、楽しいことはすぐ忘れちゃうんですよ。で、ただただ悔しいことだけが記憶に残っていく。それは昔からそうですね。

真中 僕も現役時代に一緒にプレーしたけど、監督は本当に負けず嫌いですからね。

髙津 うん、負けず嫌い(笑)。絶対に負けたくないと思っているから。

真中 その悔しさとともに、2024年はどのように戦っていきますか?

髙津 今までと違って、今年は選手たちの尻をどんどん叩いていこうと思っています。「ほら、行け!」「そら、行け!」って。今のヤクルトに足りないものは、そういうところなのかもしれない。今まではコーチに任せていたけれど、これからは僕も率先して、選手たちの尻を叩いていこうと思います。技術面の指導はもちろんコーチに任せるけど、今、チームに足りなくて、僕ができることは「選手の尻を叩くこと」だと思っています。

真中 いよいよ、監督就任5年目が始動します。来月から始まるキャンプに向けて、気持ちも高ぶっているんじゃないですか。ぜひ、今シーズンも期待しています。

髙津 2023年の悔しさを忘れずに、もう一度、あの喜びを目指してチーム一丸となって戦います。真中さんもぜひ、「応燕」をよろしくお願いします。

真中 もちろんです。2024年はⅤ奪回を楽しみにしています!

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【プロフィール】
髙津臣吾 たかつ・しんご 
1968年、広島県生まれ。広島工高、亜細亜大を卒業後、1990年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。守護神として活躍し、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年、MLBシカゴ・ホワイトソックスへ移籍。その後、ヤクルト復帰や、韓国、台湾のプロ野球、独立リーグ・新潟アルビレックスBCを経て、2012年に現役引退。ヤクルトの一軍投手コーチや二軍監督を務めたのち、2020年から一軍監督に就任。2021年は日本一、2022年は2年連続リーグ優勝を果たした。


真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県生まれ。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、08年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。15年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

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