ヤクルト・近藤弘樹、選手生命の危機を乗り越え神宮のマウンドを目指す 髙津監督も期待 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

「NPBの打者に投げるのは2年1カ月前の渡邉諒以来で、力が入りすぎちゃうんじゃないかと不安は大きかったのですが、無事に投げ終えられました(打者3人を9球で打ちとった)。古巣が相手でしたし、復帰戦のシナリオとしてはよかったかなと」

 その後、復帰4試合目に初安打を許した。

「走者を背負ってのピッチングは2年前の5月23日のDeNA戦以来で、不思議な感じでしたが、思ったよりスムーズに入れました」

 印象に残っているのは、ケガを負った日の前後のことで、そこから費やした時間を克明に記憶していることだった。その後も順調に登板数を増やし、一段、また一段と注意深く階段を上っていった。

「復帰当初は体のリカバリーが追いつかなくて、投げた翌日は反動が大きい時もあったのですが、徐々にリカバリーも早くなってきました。コンディションもある程度は継続して保てるようになりました。そこは収穫で、欲を言えば連投したかったのですが、そこまではいきませんでした」

 支配下登録期限前日の7月30日には、中1日でマウンドへ上がった。復帰から6試合連続無失点を続けており、うれしいニュースが期待されたが叶わなかった。

「この頃は状態が落ちていて、平均球速も遅かったですし、一軍に上がれたとしてもまだ勝負にならないというか......。前ほど抑えられるイメージは湧いてこなかったです」

 近藤自身、結果には納得していて、その後も前を向いて練習に励み、試合で投げ続けた。

【今季ファームで防御率1.13】

 二軍の公式戦では16試合16イニングに登板。失点は9月6日のDeNA戦(横須賀)でルーキーの松尾汐恩に打たれた2ランのみ。防御率1.13、与えた四球はわずかひとつだった。10月にはフェニックスリーグにも参加。予定していた3試合をすべて三者凡退で打ちとってみせた。

 近藤は「肩と戦っている割合がだいぶ減りました」と、復帰後のピッチングについて振り返った。

「最初は10で言えば8から9くらいで『肩、大丈夫かな』と気になっていたのが、今は4から5くらいになった。正直、まだ手探りですけど、ちょっとずつバッターと対戦できるようになりました。欲を言えば、もう少し球速が上がればと思いますが、無事に投げられているので、そこまで望まないほうがいいのかなと」

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