ブーマーと松永浩美が「私が走るとわざとファウルを打つ」と言い争い 上田利治は監督室に呼び出し「2人で打順を決めろ!」 (2ページ目)
――バッティングに特徴はありましたか?
松永 バットコントロールがよかったです。それと、打席で構えた時にバットを肩にコンコンコンとやるのが印象的なので上半身に目が行きがちですが、基本的には膝でリズムを取っている。そのリズム感が独特なんです。日本人のバッターで多いリズムの取り方は「タン、タン、タン、タン、タン」という感じなのですが、ブーマーは「タタ、ターン、タタ、ターン、タタ、ターン」というリズムなんです。
ブーマーはアメリカ出身ですが、自分が生まれ育った地域に根づいたダンスなどがあるのかもしれないし、そういったもので体に染みついたリズム感なのかもしれませんね。それが、日本のピッチャーのタイミングに合いやすかったのかな、という気はします。
球場のロッカーでも、よく音楽を流していました。周りに迷惑にならないように小さめの音量で流していましたが、私が「なんの音楽?」って聞くと少し音量を上げてくれた。レゲエっぽく聴こえましたけど、それがたぶん、日本人にとってのJ-POPや演歌みたいな感じだったんじゃないですかね。やっぱり、そのあたりの感性は日本人とは全然違いますね。
【ブーマーと打順を巡って言い合い】
――松永さんは、ブーマーさんと打撃について揉めていたという話も聞いたことがあります。
松永 確かに揉めていましたね。私はよく1番を打っていましたが、それは出塁率が高かったから。フォアボールがとれて、ヒットも打って、かつ両打ちで盗塁もできましたから。
一方で4番を打っていたブーマーは、打点を稼いでナンボだし、ホームランを打ってナンボ。ただ、私が一塁にいて盗塁すると、四球で歩かされる可能性が出てくる。それが嫌で、私が走るとわざとファウルを打つんですよ。
ある試合では、私が3回続けて盗塁を仕掛けた時に、すべてカットされました(笑)。その時にパッとブーマーを見たら、後ろを向いて笑っていました。私が呼吸を乱してぜぇぜぇ言ってたからでしょうね。
――松永さんはブーマーさんに何か言わなかったんですか?
松永 もちろん「なんで打つんだよ!」と言いましたよ。そうしたら、「マツさん、ナイスラン! それだけ動いたら体のキレがよくなるよ(笑)」って。その後も、走りたいけど、ブーマーがファウルにしちゃうから走れないというシーンが多くて。ブーマーも怒るというか、「う~ん」という顔をするんです。
私もブーマーが外国人選手として数字を残さないといけない契約をしているのはなんとなく知っています。だから、困っているような彼の顔を見ると、もう動かないほうがいいのかなとは思うんですが......やはりベンチで言い合うことはありましたね(笑)。
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