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千賀滉大の「お化けフォーク」はMLBトップクラスの空振り率 「第3の球種」が今後の活躍のカギ (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 前半戦での千賀はフォークだけではなく、カッター(カットファーストボール)をうまく使っていた。フォークを上回る全体の23.0%の割合でカッターを投げ、被打率は.222とこちらも好成績。決め球になることは少なくとも、カウントを稼ぐ球種になっていた印象があった。千賀の次のような言葉からも、カッターへの手応えが感じられる。

「フォークばかりにならないようにというのはもちろん、カットボールが日本の時よりいい球になっている。すっぽ抜けたら長打を打たれることはあるんですけど、それがなければ今のところは打たれてない。そこの精度を磨かなきゃなと思っています」

 第3の球種、カッターがメジャーでも通用しているのであれば、後半戦以降の活躍にも期待が持てそうだ。

 もちろんすべてが順調なわけではなく、千賀の1試合あたりの四球率4.72は、規程をクリアしているナ・リーグの投手の中でワーストの数字。四球が多いため球数は増え、投球回数はリーグ30位。クオリティスタートが16先発中6度と少ないのも四球が原因だろう。

 制球難に関しては、MLB使用球への適応が影響しているのかもしれない。まだまだ慣れとアジャストメントが必要だが、明白な課題があることは、"アップサイド(伸びしろ)"が残っていると考えることもできる。

「(オールスターに)また出たいなと思いました。『そりゃあ今年は選ばれるよね』と言われるようなシーズンを過ごしたい。来年以降もいい成績を残して、またこの舞台に来たいとあらためて思います」

 メジャーでもスターの仲間入りを果たすことで、新たなモチベーションを得た千賀の後半戦が楽しみだ。オールスター後初の先発となった7月15日のドジャース戦は、8勝目とはならなかったが、6回1失点、9奪三振と好投した。

 1年目からいきなり球宴に選ばれるほどの活躍ぶりでも、本当に盛り上がるのはこれから。もともとの持ち球の素晴らしさに加え、意志の強さ、謙虚な姿勢があれば、全米を舞台にした"追いかけっこ"でもいい結果を出し続けられるかもしれない。

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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