初代WBC侍ジャパンの西岡剛が振り返る、アメリカ戦のタッチアップ、韓国戦での「完璧」な一発、気まずかったシャンパンファイト (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by 日刊スポーツ/アフロ

【イチローとのやりとりと韓国戦の意地の一発】

――アメリカ戦はイチローさんの先頭打者ホームランもありましたし、いろいろ話題になりましたね。ちなみにイチローさんは、大会序盤は1番、終盤は3番を務めていました。西岡さんは大会を通じて2番を任されていましたが、イチローさんの前後を打つなかで意識していたことは?

西岡 特別に意識するようなことはありませんでしたね。1番の時は、塁に出たイチローさんをどう進めるか。3番の時はイチローさんにどううまくつなぐか、ということに徹していました。

――西岡さんにとってイチローさんはどんな存在でしたか?

西岡 僕が小学生の時にプロ野球史上初のシーズン200本安打を達成された方ですし、野球界においてトップのなかのトップ。ひと昔前でいうところの王さんのような存在だと思います。僕らの年代にとって、イチローさんや松井秀喜さん(元巨人、ヤンキースなど)は本当に特別な存在ですから。

――イチローさんとの会話のなかで、印象に残っている言葉などはありますか?

西岡 ずっと「お前はセンスがあるから、何も考えずに好きなようにやればいいよ」と言っていただいたことはよく覚えています。スイッチのオンとオフがしっかりしていて、接しやすい雰囲気を出してくれていましたし、特にWBCの時はすごくチームのために動かれていた印象が残っています。

――第2ラウンドの韓国戦、日本は1-2で敗れましたが、最終回の先頭打者だった西岡さんは追撃のソロホームランを放ちました。準決勝の韓国戦で福留孝介さん(中日、カブスなど)が放ったホームランが語られることが多いですが、その西岡さんの一発も印象的でした。あの打席は狙っていたのですか?

西岡 狙ってはいなかったですね。土壇場でしたが、試合はまったく諦めていませんでした。僕が先頭打者で、2点差だったので「出塁すればチームを一気に勢いに乗せられる」と。とにかく塁に出ようという気持ちが強くて、結果がたまたまホームランになったという感じです。

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