山本昌が中日時代の24歳後輩・辻孟彦に直球質問「なぜ日体大はプロに行く投手を次々に育てられるの?」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kai Keijiro

山本昌 自分のことを第三者的な視点で見られるのって大事だよね。今の自分はどんな投げ方をしているのか、チーム内で何番目くらいの投手なのかを理解する。ただ、プロの世界では素質だけでやれちゃう選手もいれば、たまたまコツをつかんで這い上がる選手もいるんだけど。

 そういう方もいらっしゃいましたね。

【僕は明るいオタク(笑)】

山本昌 でも、これだけ日体大からプロに行くと、入学希望者も多いんじゃないですか?

 日体大野球部で頑張りたいという子は増えました。これまでは「プロに行きたいから」と日体大を選んでくれる子は少なかったんですけど。

山本昌 矢澤くん(宏太/日本ハムドラフト1位)から聞いたんですけど、彼が日体大の下級生の頃に「おまえの小さいピッチングを誰も見たいと思わない」と言ったそうですね?

 そうですね。矢澤はコントロールを気にしていましたし、「自分はコントロールが悪い」と思い込んで、「だから自分はこうする」と投球がパターン化されていました。それを続けていても成長はないし、矢澤には「ドラフト1位でプロに行く」という目標がありました。そのためには、まずストレートを磨かないといけないよね、と。目の前の試合を抑えても、そこが自分の目標ではないでしょうと言っていました。

山本昌 いろいろと話をお聞きしていると、やっぱりコーチとして責任を持ってやっている人の話は厚みが違うなと感じますよ。

 いやぁ、これだけ実績のある方にお話しするだけでも恐れ多いです(笑)。これは前から思っていたんですけど、昌さんはどんなに年齢が離れていようと、どんどん聞いてくださって話を引き出しますよね。

山本昌 辻コーチが中日に入ってきた頃って、ちょうどアマチュアのレベルが急激に上がってきた時期だったんですよ。僕は明るいオタクなんでね(笑)、アマチュアでどうやってレベルアップしたのか、そういう話を聞くのが好きだったんです。話を聞いてみて、自分でもいいと思えば試してみたし、合わなくても引き出しとしてしまっておけばいい。それがいつか役立つこともあるかもしれない。

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