コロナ感染の大量離脱を振り返り「あの頃は本当に厳しかった」。ヤクルト髙津臣吾が真中満に明かす自宅療養中に考えていたこと (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【頼りにしていた田口麗斗】

真中 ヤクルトの強みは、序盤でゲームが壊れそうな時にも、ビハインドの5回、6回、7回をきちんと中継ぎ陣が抑えてくれた。そこからひっくり返したゲームが多かったですからね。

髙津 本音を言えば、先発投手が少しでも長いイニングを投げてくれるのが理想ですけどね。本来ならば6回、7回を投げてもらってしっかり勝ちを拾いたかったけど、そうならなかった時に、どうやって試合を立て直していくか? そういう意味では2番手、3番手が投げる5回、6回をどう切り抜けていくかはすごく大きかったですね。

真中 そういう意味では木澤もそうだし、田口麗斗の存在も大きかったですね。シーズン序盤なんて、ことごとく抑えていましたもんね。監督のなかでも、田口に対する信頼感はかなり大きいんじゃないですか?

髙津 左のリリーフが手薄だったので、本当に「田口頼み」の部分は大きかったですね。だから、田口にはかなりの負担がかかっていたと思います。できるだけ、ワンポイント、あるいはツーポイント、投げても1イニングで終わらせるように意識していました。

 もちろん、左打者に対して、必ずしも左投手じゃなければいけないということはないんだけど、田口には大きなスライダーもあるし、ストレートも力強いし、左バッターにとっては、かなり厄介だったと思いますよ。田口を活かす継投というのは、とても意識していました。

対談した髙津臣吾監督(右)と真中満氏対談した髙津臣吾監督(右)と真中満氏この記事に関連する写真を見る真中 髙津監督が我慢しているのはよく伝わってきましたよ。「ここで、田口かな?」と思っても、まだ使わない。シーズン全般を見据えて大事に、大事に使っているのは僕にもよくわかりました。僕はいつも、「早く田口、投げろ!」と思って見ていたけど(笑)。

髙津 そうそう。それで結局、使わないで終わってしまうことも多かったけど、本当に最後のキーとなる投手なので、田口に関しては使いどころだけは間違えないように、常に意識していました。

【コロナ感染の自宅療養中に考えていたこと】

真中 2022年シーズン全般について伺いたいんですけど、7月にコロナに感染して大量離脱がありましたよね。あの時、監督自身もコロナになってしまって、自宅待機を余儀なくされましたけど、どんな思いでテレビ中継を見ていたんですか?

髙津 わりと冷静だったんですよね。ベンチにいる時は、「クソー」とか、「アーッ」ってなるのに(笑)。まったく声も出ないほど。

真中 コロナでのどをやられて?

髙津 いやいや、違う、違う。画面にクギづけなって見ているから、まったく声も出ないんですよ(笑)。もちろんみんなを応援しているし、「打て」とか「抑えてくれ」って思っているんだけど、ベンチにいる時とは違って声も出さずに冷静に見ていましたね。真中さんの解説を聞きながら。

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