日本とアメリカのフロント力の差をMLB評論家・福島良一は痛感。「根本陸夫さんだけは本物のプロフェッショナルだった」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

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広島監督時代の根本陸夫(写真左)広島監督時代の根本陸夫(写真左)この記事に関連する写真を見る

根本は本物のプロフェッショナル

「あの時、特集のほかの企画で、アメリカのマイナーリーグを取り上げたんです。バーミングハム・バロンズ(ホワイトソックス傘下AA)という球団の取材に、現地のアラバマ州まで行かせていただいて。そのタイミングで、編集部の方から『根本さんのインタビューもお願いします』というご依頼を受けたんですね」

 福島は1991年3月に刊行した著書『大リーグ物語』(講談社現代新書)のなかで、GMについてこう解説しており、日米の比較はわかりやすい。

<大リーグの監督には日本のプロ野球チームの監督のようにドラフト会議に出席したり、トレードで戦力を補強するための権限がない。監督はゼネラル・マネージャーが与えてくれた戦力を最大限に生かして勝つことが要求される>

 さらに、1970年代以降のメジャーリーグで結果を出した優秀なGMを列挙していくのだが、その項の最後に根本の名前が出てくる。日本のプロ野球では、根本がチーム編成と選手育成を受け持つ以外に、真のGMと言える人物がいないのは残念で寂しい限りだと感情を込めて書かれている。おそらく、エスクァイア編集部はこの一文に反応し、インタビューを依頼したのだろう。

「僕にとって、根本さんは非常に興味深い野球人でした。やはり、日本とアメリカの決定的な違いは、フロントにプロフェッショナルがいないということなんです。選手のレベルはもちろんですけども、ある意味では、それ以上にフロントの違いを感じてきたので、根本さんは本物のプロフェッショナルとして、ずっと注目しておりました」

 ただ、福島が根本に注目したそもそもの原点は、西武時代ではなかった。最初に根本を見たのは70年代初め、広島監督時代。福島は千葉在住だったため、チームが関東地区に遠征で来た試合を観戦し、指揮官としての存在感にまず興味を持った。さらには、戦力補強の面で印象に残ることがあった。

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