石毛宏典から見た今の西武は「教育が必要」。固定されない1番打者など、3年ぶりのリーグ優勝に向けた課題を熱弁した (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

優勝に必要な「教育」

――1番打者には、1番打者の役割がある?

石毛 近年は「2番打者最強説」なんかもあって、「2番打者にバントをさせたらもったいない」などと言われることもあります。確かにそれも一理あるかもしれませんが、1番から9番まで打順の役割があるならば、その役割に徹した教育が必要です。

 個々の選手の個性を活かすことももちろん大事なことですが、首脳陣はそれぞれの打順の役割を教育して打線を作っていかなければなりません。今の打線を見ていると淡泊で仕方がないんです。

 選手だけに任せていたら、アマチュアでもプロでもいいチームは作れない。教育をしていくなかでの実践はいいと思いますが、「お前たちの人生だから頑張れ。全部任せるぞ」みたいな感じでいくと、いい人間もいい選手もそうそう育たないですよ。

――守備についてお聞きしますが、今季は失策(リーグワーストの67個)が目立ちます。

石毛 捕球のエラーにしろ、送球のエラーにしろ、改善をしなければいけませんし、訓練が必要です。昔はエラーをしたら翌日早めにグラウンドに来て、担当コーチからノックを受けるということがありました。たとえ改善しなくても、エラーをしてチームに迷惑をかけた、あるいは負けてしまった、というものをチームで共有していました。チームをひとつにまとめていくには、そういったことも必要です。

――石毛さんは現役時代に西武のチームリーダーとして、11度のリーグ優勝、8度の日本一を達成されています。優勝を目指す上でのコンディション作りや気持ちの持っていき方で重要なことは?

石毛 現場の首脳陣、選手、そして球団が、「優勝したい」とどれだけ強く思うかじゃないですか。ベンチに仰け反って座っているのではなく、「頼むぞ、抑えてくれよ。打ってくれよ」と前のめりになっていかないと。ベンチから「気」を送るって言うと、「今はそういう時代じゃありませんよ」と思う人もいるかもしれませんが、やっぱりそういう気持ちの表れが、全体の気となって相手を押していくわけですから。

 だから、それも教育なんじゃないかな。チャンスやピンチの時なんかに、中村剛也や栗山巧がタイムリーに言葉を投げかけることができるか。チームのリーダーは監督なので、辻監督が自分で言うのもそうですし、担当コーチ、キャプテンの源田に言わせるのもそのひとつです。

――2018年と2019年は辻監督のもとでリーグ優勝をしていますし、優勝を経験しているメンバーが多いです。その経験が生きてくる?

石毛 そうですね。優勝を経験しているメンバーが多いことは有利に働くと思います。監督やコーチ、キャプテン、ベテランたちが、いかにチームをまとめていくかが大事ですね。

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