元ヤクルトスカウトが明かす「選手獲得のツボ」と「野村克也が時間厳守と挨拶に厳しかったワケ」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

 広島・新庄高校時代の永川勝浩投手(元広島)は、体が細くて、ストレートの球速も120キロくらいでした。それでもテイクバック時のヒジの位置は高かった。筋力がつけば面白い投手になるかもと思って見ていました。

 その後、亜細亜大に進学し、下級生のうちはまだ体力もなく、実戦での登板機会はなかったのですが、それがよかった。それから身長も伸び、体も出来上がってくると150キロのスピードが出るようになった。結局、大学では15試合ぐらいの登板でしたが、自由枠で広島に入団し、クローザーとして球団最多の165セーブをマークする投手になりました。

 打者だと、「見逃し方」に注目していました。ストレートを待っていて変化球が来た時、(右打者の場合)すぐ左肩が開いてしまうような見逃し方はよくない。いいバッターというのは、いい形をしているものです。

 トップアスリートには共通項があって、それは走る時に太ももがしっかり上がっていて、腕がよく振れている。つまり、「腸腰筋」「肩甲骨回りの筋肉」「肩のインナーマッスル」の柔軟性があるということです。投球フォームやバットスイングを見れば、この柔軟性があるかどうかがわかります。軸足の裏から力をもらって、足首、膝、股関節、腰、胸郭、腕へと伝えていく"運動連鎖"がしっかりできている。これができる選手は成長が早いです。

野村克也がこだわった「時間厳守と挨拶」

 野村克也さんのヤクルト監督時代に「アマチュア時代に本塁打を何本打っても関係ない。他人よりも遠くに飛ばせる"長打力"、速い球、遠くに投げられる "強肩"、速く走れる"走力"を持った選手を探してこい」と言われました。

 ところが、シーズンが終わると「速い球だけじゃダメだなぁ。コントロールも併せ持った投手を連れてこい」となり、さらに次のシーズンが終わると「速い球とコントロールでもダメだった。『これをしなさい』と指導した時にちゃんとできる選手を連れてきてくれ」となったんです。

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