山川穂高は日本人選手史上6人目の「50本塁打」に到達できるか。広澤克実が語る偉業達成の条件 (3ページ目)
── 広澤さんは同じチームでプレーした落合博満さんや松井秀喜さんのバッティングを間近で見て、「ホームランを打つコツ」はあると思われましたか。
「ふたりの共通項は"選球眼がいい"こと。ボール球を振らない。落合さんや松井くんと、山川選手、中村(剛也)選手は、同じホームラン打者でもタイプが違う。落合さんや松井くんは三振が少なく四球が多いのに対し、山川選手、中村選手は三振が多く、四球が少ない。落合さんや松井くんはティー打撃を含めて、練習中は絶対にゴロを打たないことを心がけていました。まして引っかけるということは一切なかった。つまり、常に"打ち出し"はホームランの角度にすることを考えていた。
20年前と現代を一概に比較するのは、野球が違う(平均球速や変化球、球場の広さ、試合数、交流戦の有無など)のでナンセンスだと思うが、ホームランを打つことについては、まず『ゴロを打たない』という部分は変わらない。近年はゴロを転がして、一塁でセーフにさせる"左打ち"の選手を育てる指導者が多く、ホームラン打者が育たないひとつの要因になっている。小・中・高の指導者には、山川選手のように、足は速くなくても打撃がすごい選手を育成してほしいと思います」
── 落合さんのホームランは全方向でしたが、松井さんや山川選手は引っ張っての打球が多いように思います。
「落合さんは川崎球場で育ったので、広角打法になったのだろう。正直言って、ホームラン打者はプルヒッターじゃないとダメだと思う。ホームランだけを考えるのなら、ホームベースを内角と外角の半分に分けて、内角だけを打ったほうがいい。それを許してくれるチームは少ないと思うが、西武はそれが許される球団だと思う」
── 残り90試合ちょっと、山川選手は2002年の松井さん以来、日本人選手として20年ぶりの50本塁打の可能性はありますか。
「山川選手がよくホームランにするのは高めに浮いた球。逆に、低めの変化球に空振りすることが多い。投手が山川選手からホームランを防ぐためには、コントロールミスして高めに抜けないこと。裏を返せば、山川選手はその投げミスを確実にとらえること。さらに、投手が投げミスしない時に、今度は山川選手がどういう打撃ができるかに"50本"はかかっていると思います」
フォトギャラリーを見る
3 / 3