斎藤佑樹が自らの野球の原点と語る中学時代。「好きな練習ばかり。もし指導者がいたら止められていた」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 キャプテンって、チームが向かうべきベクトルを同じ方向に持っていくのが役割だと思うんです。見た目にわかりやすいリーダーシップを発揮するとか、そういうことよりも、裏でいつの間にか一人ひとり、少しずつ違っていた向きを、なんとなく同じ方向へ持っていける......そういう能力がある人がやるべきだと思います。当時、自分が実際にできていたかはわかりませんが。

好きな練習しかしてこなかった

 2年の夏が終わって新チームになったと同時に、僕が練習メニューを考えるようになりました。当時の監督は野球に詳しくない先生で、練習にもほとんど顔を出さなかったので、僕が紅白戦をメインにティーバッティングと、たまにシートノックするくらいのメニューを組んでいました。

 当時、"15アウト"という練習メニューがあって、それを僕らはよくやっていました。スリーアウト×5回で15のアウトをとるまで、攻守交代しないで続ける。僕がピッチャーとして投げ続けて、スリーアウトになったらその時点で出ていたランナーをリセットして、またスリーアウトになるまで続ける......15のアウトを取ったら、攻守交代して、また15のアウトをとるまで続ける。部員は同級生が11人、1年生が7〜8人だったかな。何とか2チーム分を確保できるくらいの数でした。

 試合でもサインは僕が出しました。あとトリックプレーの練習もしましたね。兄のいた桐生高校の試合を応援しに行った時に繰り出されたプレーを見て、「おっ、これ、いいな」って(笑)。

 ノーアウトかワンアウト二、三塁で、バッターがスクイズして、それを攻撃側がわざとミスするんです。空振りして、二塁ランナーが飛び出して、さらにコケてみせる。そうしたら肩に自信のあるキャッチャーは必ずセカンドへ投げるじゃないですか。その間に三塁ランナーがホームを突く、みたいな......そのプレーは試合でもやってうまくいきました。いやぁ、気持ちよかったですねぇ(笑)。

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