守備力で選ぶ「歴代捕手ベスト10」。大矢明彦が「私など足元にも及ばない」と評価したNo.1は?【2021人気記事】

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

コロナ禍においてでも、東京五輪・パラリンピックなどで盛り上がった2021年のスポーツ界。そのなかでも、スポルティーバはさまざまな記事を掲載。今年、反響の大きかった人気記事を再公開します(2021年6月24日配信)。
※記事は配信日時当時の内容になります。

 捕手は「扇の要」と称されるように、野球で重要なポジションに位置づけられている。これまでも数々の名捕手がプロ野球界を彩ってきた。そこでセ・リーグ初のダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)受賞者であり、通算6回のダイヤモンドグラブ賞を受賞した名捕手・大矢明彦(元ヤクルト)に「守備力の高かった捕手ベスト10」を選んでもらった。

名捕手として活躍した達川光男(左)、古田敦也(中)、谷繁元信(右)名捕手として活躍した達川光男(左)、古田敦也(中)、谷繁元信(右)
10位 岡村浩二(1961~1974年/元阪急ほか)
 
 阪急ブレーブス(現・オリックス)の黄金期を支えた名捕手でした。私は若手時代、「岡村のブロックは上手だから、よく見ておけ」と言われていました。

 コリジョンルールのできた今は必要なくなりましたが、かつてブロックは捕手にとって必要不可欠な能力でした。捕手のブロックで大事な1点を防げるわけですから、私たちはどうやってブロックするかを考えていました。時には体を張って、ランナーの体当たりを受けることもありました。

 岡村さんのブロックが巧みだったのは、左ヒザの使い方。よく参考にさせてもらった記憶が残っています。

9位 袴田英利(1978~1990年/元ロッテ)

 私は、日米野球でロッテのエースだった村田兆治さんとバッテリーを組む機会がありました。すると、村田さんは「ノーサインで受けてくれ」と言うのです。村田さんの球種は豪速球に落差の大きなフォーク、スライダー。捕るだけで大変でした。

 そこで、「(村田さんとバッテリーを組んでいた)袴田はよくこの球をノーサインで捕れるな」と痛感しました。村田さんはこうと決めたら動かない頑固なところもあり、そんな投手を気分よく放らせている袴田に頭が下がる思いがしました。大エースにいい仕事をしてもらうために、体を張ってボールを止める。村田さんの快投を支えたのは、隠れた名捕手でした。

8位 梨田昌孝(昌崇/1972~1988年/元近鉄)

 個性的な打撃フォームの「こんにゃく打法」で有名でしたが、守備の名手でもありました。とくにスローイングは抜群でしたね。

 伊勢孝夫さんが近鉄でコーチを務められた時期に、当時若手だった梨田を紹介されたことがありました。

「梨田を一人前にしたいんだけど、いろんなことを教えてやってくれないか」

 そう頼まれ、九州に向かう電車の中でいろいろな話をした思い出が残っています。ハンサムでいい男だなと思っていたら、すぐに頭角を現してパ・リーグを代表する捕手になりました。

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