西武のドラフトは徹底して「左腕」狙いか。野手は若手が順調に成長中

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2021〜西武編

 まず、西武の昨年と今シーズンのここまで(9月22日現在)のチーム成績を見てみたい。

2020年 58勝58敗(勝率.500)/チーム打率.238/本塁打107本/チーム防御率4.28
2021年 44勝55敗18分(勝率.444)/チーム打率.245/本塁打94本/チーム防御率4.05

 シーズン途中ではあるが、数字的には3位だった昨年とそれほど大差はないにもかかわらず、5位に甘んじている。その理由は判然としないが、昨年12勝10敗だった楽天との対戦成績が、今季は4勝12敗と大きく負け越している。苦手チームをつくると、優勝はおろか、Aクラス入りも厳しいという「ペナントレースの定説」に、見事に当てはまった格好だ。

最速150キロを誇る西日本工業大の隅田知一郎最速150キロを誇る西日本工業大の隅田知一郎この記事に関連する写真を見る なかでも、前半戦で外崎修汰が左足腓骨を骨折し、リードオフマンに定着しかけていたルーキーの若林楽人も左ヒザ前十字じん帯損傷で戦線離脱。このふたりのアクシデントは間違いなく痛かった。とはいえ、ファームも含めて若手野手は着実に成長しており、来季以降の戦いに大きな期待が持てる。

 昨年のドラフト1位・渡部健人はシーズン当初からファームの4番に据えて「和製大砲」として英才教育。ここまで18本塁打を放ち、一軍の主軸としての道を順調に歩んでいる。

 同じく6位のブランドンも、春は若林とともに一軍のレギュラー争いに加わっていたが、故障により離脱。それでもファームで復帰して10本塁打を放つなど、渡部とともに将来の大砲候補として大きな期待を抱かせている。

 さらに昨年のドラフト組でいえば、3位の山村崇嘉、7位の仲三河優太、育成2位の長谷川信哉がファームのレギュラー格として奮闘。また4年目の綱島龍生、高木渉のコンビも存在感を発揮している。

 その一方で、投手陣はいまだ先行き不安定な状態だ。とくに左腕不足は菊池雄星(マリナーズ)がメジャーに移籍した頃から言われていたことで、昨年のドラフトでも早稲田大の早川隆久(楽天)を指名するも獲り逃がし、2位でNTT東日本の佐々木健を獲得したが、まだチームに貢献できるまでには至っていない。

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