BCリーグ分裂の真相。なぜ西地区の4球団は新リーグ発足へと向かったのか (3ページ目)
同じBCリーグにあっても西地区はそのメリットを受けにくく、実際、ここ3年間でBCリーグからドラフトで指名された選手(育成ドラフトも含む)は16人いるが、西地区からの指名は4人のみで、昨年はゼロだった。
メディアの露出に関しても、豊富な資金力をバックに元NPB大物を次々と獲得する栃木を筆頭に、地元のNPB球団・DeNAで活躍した選手を首脳陣に据え、参入初年度にリーグ制覇を果たした神奈川、2015年のドラフトで5人の選手を送り込んだ埼玉、海外経験豊富なスタッフを招聘して3人の元メジャーリーガーを獲得した茨城など、東地区の躍進は顕著だ。そんな東地区の4チームは、今年独自でオールスター戦を開催している。
「全国に独立リーグの種を蒔く」という理想とは裏腹に、肥大化したBCリーグが一枚岩でなくなってきたことは紛れもない事実だろう。
東地区球団の存在が注目度を高めていくなか、西地区は低迷していった。古参の石川、富山、福井の3球団は観客動員の不振が日常化し、その西地区においてもっとも経営継続が危惧されていたのが滋賀だった。
2017年に立ち上がった滋賀ユナイテッドは、親会社を持たないまさに創設者が裸一貫でスタートさせたチームだった。だが、早々に球団経営に行き詰まり、3年目の2019年にはネーミングライツスポンサーとなったゼネコンのオセアングループがシーズン途中に球団を買い取り、チーム名もブラックスとあらため再出発した。
滋賀は今シーズン、初めて地区優勝を果たしたのだが、資金豊富なオーナー企業はチームだけでなく、リーグ再編の原動力となった。
このオセアンと野球との関わりは、横浜スタジアムの改修工事に携わっていたことに始まる。元高校球児だった代表取締役は、野球を通じての社会貢献に積極的で、オリックスのファーム本拠地や滋賀オセアンブラックスの本拠地である彦根球場のネーミングライツも獲得している。
球団の立て直しに成功したオセアンが、盟主として新リーグ設立を主導するというのは、ある意味必然でもあった。
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