山田哲人がランナーの時にだけ起きた異変。井端弘和コーチが東京五輪の裏話を明かす (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Osada Yohei/AFLO

――村上選手は国際試合の経験も少なく、チーム最年少の21歳でしたが、実力を存分に出せるか不安はありませんでしたか?

「不安もありましたが、準備段階からさまざまな選手と話をして、試合中もグラウンドやベンチにいる時も常に声を出していた。その姿は普段のヤクルトでの試合でも見ていて、メンバーに選ぶ上でも重視していた点です」

――村上選手は昨季まで、ヤクルトではファーストを守る機会のほうが多かったですが、不安はありませんでしたか?

「特に細かいことは言っていませんね。外国人の打者は打球が速いから、いつもより早めに準備をしようと伝えたくらいです。構えた時に、グラブを前もって出しておくというか、そう意識するだけで充分。それは他の選手たちに対してもそう言っていました。

 時間があるなら、じっくりと細かな部分のアドバイスをすることもあったかもしれませんが、合流から期間が短かったのでシンプルなことだけにしようと思いました。そもそも、今回代表に選ばれた選手たちは守備のレベルも高い選手ばかりでしたから」

――村上選手だけでなくチーム全体に対して、守備走塁コーチとして伝えていたことはありますか?

「盗塁に関しては、バッテリーを含めた相手の守備は日本のプロ野球よりも絶対にスキがあるので、そこですぐ走れる準備をしておこうと話していました。それで、『迷ったらGO』。自分で行けるという判断をしたならそれに従って、失敗したら僕のせいにすればいいと。

 決勝まで最短でいけたら5試合なので、毎試合2つの盗塁、全体で10個くらいのイメージでした。結果は9個でしたから、それは達成できたのかなと思います。

 守備では当然、無失策を目指していましたが、内野はノーエラー、全体でもひとつというのはよかったです。その守備の硬さは日本の強みですね。逆に日本が得点した場面は、相手のミスにうまくつけこむことができたと思います」

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