2021.08.10

「犬猿の仲」高橋慶彦×正田耕三、禁断の対談が実現。「天才やもん、あいつ」と頭にきていた選手は?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 布川航太●撮影 photo by Nunokawa Kota

―― 高橋さんは以前、「スイッチヒッターになると、右と左の感覚がピタッとつながる瞬間がくる」と言っています。正田さんもその感覚は理解できるでしょうか。

正田 わかります。左で打っていて、「右もこうやって打ったらええんやな」と。

高橋 ショウも子どもの頃は右打席だけやってたやろ? だから感覚がわかるんじゃない。よく「右で打てないヤツが左で打てるはずがない」と言われるけど、あれはウソやもんな。左で打っていたら、右ももっと打てるようになる。

正田 左打席での打ち方を一つひとつ作っていくと、バッティングというものがわかってくる。すると、今まで我流でやってきた右も「この部分はこうしたほうがええな」と見えてくる。

高橋 右のほうが雑だもんな。ショウが言うように左のほうが一つひとつ組み立てていくから、ムダがないもんな。

正田 内田さんにこんな練習をさせられましたよ。キャッチャー道具を身につけ、手には剣道で使う小手をつけた上でバットを持つんです。その状態で近い距離にセットしたピッチングマシンから、体に当たるようなボールを投げられる。当然ボールが体に当たるから、バットを払うようにして守るんです。そうやってインコースのバットの出し方を覚えましたよ。

高橋 ひどいことするね(笑)。今だったらありえん練習をしていたからね。俺もマシンを半分の距離に出して打たされたから。

正田 それ、聞いたことありました(笑)。それだけ近かったら、体の反応で打つしかないですよね。

高橋 山内一弘さんに教わった時にさ、ボールをポンッと軽く投げられたんよ。パッて捕ったら、「なんで捕るん?」と言われて。「は?」と思っていたら、山内さんは「バットはそう出さなあかん」と。要は、バットはボールの来たところに、無意識で出せるようにならないといけない。それくらい練習しないといけないということなんよね。

正田 打ち終わってから、「今のどうやって打ったのかな?」と思うような打席もありました。飛んでいった場所すらわからないような。

高橋 あるある。長嶋茂雄さんがヒットを打った後に、明らかにカーブを打っているのに「ストレートを打った」と答えるような。あの感覚やと思うね。