岩瀬仁紀が徹底解説。侍ジャパンはなぜアメリカを0点に抑えることができたのか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by JMPA

── 伊藤投手、栗林投手のルーキーもリリーフでなくてはならない存在になりました。

「共通して言えるのは、『怖いもの知らず』が一番の強みになったことです。とくに伊藤は大胆不敵な投球が印象的でした。甘いボールがいくつかあっても、打たれた体験がないので強気でグイグイ突っ込んでいけます」

── 痛い目にあっていたら、できない投球だったのでしょうか。

「できません。大事な試合でやられた投手は、大胆にはなれません。だから決勝は調子のいいピッチャーだけ使った継投になったのでしょう」

── 伊藤投手は回またぎとなった8回、先頭打者のタイラー・オースティン(DeNA)に安打を打たれたところで岩崎投手に交代しました。痛い目に遭う前に代えたということでしょうか。

「というよりも、次が左打者のトリストン・カサス(レッドソックスマイナー)だったので、もともと岩崎をここで投げさせる予定だったのでしょう。アメリカのキーマンはオースティンとカサスの2、3番でしたから、スパッと替えたのだと思います」

── 岩崎投手はアメリカのクリーンアップを3人で片づけました。

「岩崎は一番苦しいところを抑えてくれました。無死一塁の場面で出てきて、なかなか3人で簡単に抑えて帰ってこられないですよ。彼がしんどいところを抑えてくれたから、日本に流れがきて8回裏に貴重な追加点が入りました」

── 同じサウスポーのリリーフ投手として、岩瀬さんは岩崎投手が抑えた価値を誰よりも実感していると思います。

「本当に難しい場面でした。カサスに対して2ストライクを取ってから、厳しいところを続けながら『ボール』と判定されて......。カウント3-2から一番いいボールを投げられるのですから。最後の1球が勝負を分けたと言ってもいいと思います」

── 岩瀬さんがアメリカとの決勝戦のMVPを選ぶとしたら?

「そうですね。大きな流れを止めたのは岩崎ですし、流れを呼び込んだのも岩崎でした」

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