エルドレッド「ざるうどんが恋しい」。カープ史上最も愛された助っ人が選手時代の思い出や大谷翔平を語った (3ページ目)

  • スポルティーバ●取材・文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

―― 駐米スカウトとして、外国人選手を発掘する際に注目しているポイントは?

「最も重視しているのは、野球に対する『アプローチ』です。パワーのある選手、ヒットを打てる選手はいても、毎打席、明確な目的をもって打席に立つバッターは少ない。パワーがあるからといって、大振り一辺倒の選手よりも、カウントだったり、前の打席の課題だったりを意識して打席に立つ選手のほうが、監督も起用しやすいですよね。そのため、ネクストバッターズサークルでの仕草や、ベンチでの振る舞いも注視しています」

―― 今シーズンからカープでプレーするクロン選手は、エルドレッドスカウトが高く評価したプレーヤーだったんですよね。

「そうですね。日本に向かう際、クロンには『日本の文化、環境に対してオープンマインドになること』『エゴを出さないこと』を伝えましたが、コロナの影響もあって、イレギュラーなことも多々あったと思います。僕がクロンの立場でも苦労したでしょう。

 ただ、クロンには間違いなくポテンシャルがある。さっき言った『アプローチ』を場面によって変えられる選手ですし、日本の野球に慣れていけば、カープの力になれるはずです」

―― 結果が求められるプロ選手とあって、エゴとチームプレーの境は難しいケースもあると思います。そのあたりはどのように考えていましたか?

「僕で言えば、最後のシーズン、代打での出場が増えて、正直『もっと使ってほしい』と思うこともありました。でもそこで、どう考えるかだと思います。カープのラストシーズンの時、僕は38歳でした。年齢的に他の選手のサポートをすることも、僕の役割だと考えた。チームメイトのメンタルをケアするために相談に乗ったり、アドバイスをしたり。自分の結果にこだわると同時に、チームにどう貢献するかという視点も大切です」

―― クロン選手は"ネクスト・エルドレッド"と呼ばれるほど期待されていますが、外国人選手が日本で活躍するために必要なことは?

「まずは選手としてプロであること。結果にこだわって、チームに貢献することは欠かせません。それに加えて、カープでいえば広島という街と、所属するチームに馴染もうとする姿勢も不可欠ですね。カープに在籍していた際、僕もチームメイトとできるだけ多く話すこと、文化を受け入れることを心がけました。

 それで言うと、妻には感謝したいですね。彼女も積極的に外出したり、友人を家に招いたりして、すっかり広島に馴染んでいました。そんな彼女の姿勢にずいぶん助けてもらったと思います」

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