阪神快進撃の陰の立役者・中野拓夢。これほどの選手がなぜドラフト6位だったのか
昨年秋のドラフトでの阪神は、1位で4球団が指名した近畿大の佐藤輝明を抽選で獲得。待望の「猛虎打線復活」の足がかりを固め、さらに2位でJR東日本の即戦力左腕・伊藤将司を指名。チームの弱点をカバーする最高の滑り出しを見せた。
ならば3位は内野手だろう......こっちの勝手な推測だが、ちゃんとした根拠があった。昨年の阪神はエラーが多く、失策数、守備率ともに12球団ワースト。そこを埋めるには、まずは守備力のある即戦力内野手の獲得が先決だ。そこで、國學院大の遊撃手・小川龍成あたりが面白いと思っていたら、直前でロッテに持っていかれた。
そうなると東北福祉大の元山飛優しかいないはずと決め込んでいたら、阪神が指名したのは上武大の150キロ右腕・佐藤蓮だった。
たしかに、阪神は西勇輝や秋山拓巳を筆頭に、強さよりもうまさが目立つ投手が多い。投手陣のバリエーションを考えれば、佐藤の3位指名も十分に納得できるものだった。
そのあとも4位で超強肩捕手・榮枝裕貴(立命館大)、5位は肩の故障さえなければ2位か3位で指名されていたはずの右腕・村上頌樹(東洋大)を獲得。こりゃ内野手の補強はトレード頼みなのかと思っていた矢先、中野拓夢(三菱自動車岡崎)が6位で指名された。その瞬間「この選手がいたか!」と思わず声が出てしまった。
中野がいかにすばらしい選手かというのは、今年1月8日に配信した<一軍の戦力にぴたっとハマる。 早川、佐藤だけじゃない即戦力ルーキー>で紹介させてもらったが、ここまで見事な活躍を見せてくれるとは思っていなかった。
キャンプ、オープン戦から遺憾なくその実力を発揮し、開幕一軍をゲット。4月10日のDeNA戦で初スタメンと果たすと、そこから5月1日までの16試合のうち12試合に先発出場(トータルで22試合に出場)。打率もここまで.340をマークしており、セ・リーグ首位を走る阪神に欠かせない戦力となっている。
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