DeNA牧秀悟が新人王に向け絶好調。打撃スタイルと菅野・戸郷の衝撃を語る (4ページ目)

  • 菊地高弘●取材・文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 4月4日、広島戦で3安打1打点と勝利に貢献した牧は、初めて横浜スタジアムのお立ち台に立った。インタビュアーから「プロ初のお立ち台です。まずは今のお気持ちからお願いします」と問われた牧は、こんな自己紹介から入っている。

「長野県から来ました、牧秀悟です!」

 厳密に言えば、「今のお気持ち」は答えていない。つまり、ヒーローインタビューでは「長野県」という言葉を出そうとあらかじめ決めていたのではないか。そう尋ねると、牧は「決めていました」と認めた。

「長野県出身のプロ野球選手はなかなかいないので、あの場で言えば目立つかなと思ったんです」

「中央大から来ました」ではなく、「長野県から来ました」というところに、牧の郷土愛が透けて見える。大学時代には、こんな思いを語っていた。

「自分の地元(中野市)は田舎で、野球人口が本当に少なくなってしまいました。そんなところから自分がプロになったら、子どもたちに野球がもっと楽しくなる、いい影響を与えられると思うんです。記録より記憶に残る選手になりたいです」

 あらためて地元のいいところを聞くと、牧はこう答えた。

「自然豊かで信州そばなどご飯がとてもおいしいです。それと田舎なので、人とのかかわりが密接で応援してくれる人がたくさんいます。ちょっとダメでも、いつも励ましてくれる人ばかり。そんな人に自分は力をもらっています」

 長野県から応援する人々、横浜スタジアムで拍手を送るDeNAファン。牧秀悟というプレーヤーは、後押しを受ければ受けるほど試合で実力を発揮してくれる。

 開幕から負けが込むDeNAだが、このフレッシュさとは無縁のルーキーの存在は、何よりもまばゆい光明になっている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る