「中村奨成はもう終わったのか」の声を覆せるか。外野なら飯田哲也クラスの選手になれる (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 じつは2017年のドラフト前、ある雑誌で中村について「センターで鍛えたら、新庄剛志クラスの選手になれる」と書いたら、多くの意見が寄せられた。とはいえ、中村の足と肩を最大限に生かすのは、捕手よりも外野手じゃないかという思いはずっと持っていた。

 この先、本格的に外野手転向となれば、先述した栗原か、もしくはヤクルト黄金時代に7年連続ゴールデングラブ賞を獲得した飯田哲也が目指す理想像となる。

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 どちらも高校時代は俊足・強肩の捕手として鳴らし、プロ入り後に外野手へとコンバートされ、才能を開花させた選手である。彼らのように中村も、外野手転向がプロ野球選手として大きなターニングポイントになるような気がしてならない。

 捕手として取り組んだ3年間で学んだことは、外野手としても大いに活用できるはずだ。打者のスイングとファウルの飛び方で打球方向を予想する"嗅覚"は身につけているだろうし、今まで見えているようで見えていなかった投手のちょっとした変化にも気づくだろう。気がついたら、球界を代表する外野手になっている可能性はある。

 今シーズン、プロ初安打から何本のヒットを積み重ねられるのか。2017年の夏のような輝きを、もう一度見せてくれると信じている。中村奨成の挑戦は始まったばかりだ。

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