「栗林はレベルが違う、小園は鍛錬が必要」河田ヘッドがカープ好調の要因と若手を語る (3ページ目)

  • 永田遼太郎●取材・文 text by Ryotaro Nagata
  • photo by Kyodo News

―― 河田ヘッドの気さくなコミュニケーションが、若い選手が萎縮しない、チームのいい雰囲気につながっているように感じます。

「人見知りの人って大人になっても人見知りですから。自分から話しかけるのが難しい方もいらっしゃるでしょうけど、僕に関してはそれがないので(笑)。以前、某テレビ局のアナウンサーの方が『プロ野球取材初日ですごく緊張していたんですけど、河田さんが話しかけてくれたからすごく楽になった』と言っていました。チームのウォーミングアップ中もそうですけど、若い選手たちが声を出せずにいる時は、僕から声をかける。人って声をかけられると、"シャキッ"とするじゃないですか。昭和的な考えかもしれませんが、そういうのも必要なのかなと」

―― その考え方は誰かに影響を受けたものですか?

「ないかなあ。野球界って選手になっても、コーチになっても、いつまでたってもタテ社会なんです。前回のカープと、昨年までいたヤクルトでは、ともに一学年下の緒方(孝市)監督と高津(臣吾)監督でした。僕の方が年上だから、二人は敬語ですし、気も遣ってくれる。そういう世界だからこそ、コーチ、選手問わず、年上から積極的に話しかけないと、下の人は気楽に話せないんですよ。それはコーチをはじめた時から、実行してきたことですね」

―― 2003年にライオンズの打撃コーチをされていたころですね。

「そうですね。あの時は最初、一軍打撃コーチの補佐だったので遠慮していた部分があったんですけど、翌年(2004年)に二軍外野守備・走塁コーチになってからですかね。若い選手が何を考えているのか単純に興味がありました。ぶっちゃけた話、『コイツ彼女いるんだろうか?』とか『両親は何の仕事をしているのか?』とか(笑)。選手の性格を見る上で、これまでどういうふうに育ってきたのかわかったほうが、会話のネタにもなるんです。ちょっと前までは流行にも敏感でしたが、最近の若手選手は僕の子どもよりも年下なので、さすがに追いつけなくなりました(笑)」

―― カープ伝統の機動力野球を実践するには、河田ヘッド(53歳)より一回り近く年下の廣瀬純一軍外野守備・走塁コーチ(42歳)や、玉木朋孝一軍内野守備・走塁コーチ(45歳)とのコミュニケーションが大事になってくると思います。お二人とは日頃、どのようなことを話していますか?

「先ほど言った相手投手がワンバンを投げた時のスタートなんかは、2月のキャンプから廣瀬も玉木も口酸っぱく選手たちに言ってくれていました。あとは、僕が2016、2017年にカープの三塁コーチャーとして意識していた相手投手の癖の見方なども引き継いでくれているのはありがたいですね。スコアラーと廣瀬、玉木が情報交換しながら、選手に伝えるということができているように感じます。

 ただ、僕も野手のミーティングに参加しているんですが、コーチ陣が言わなかったことを僕が出しゃばりだから言っちゃったりするんですよ(笑)。これは変えないといけないと思っています」

―― 各コーチの立場や言葉を尊重して、円滑な関係をつくっていくということですね。

「そうですね。コーチ陣には、ミーティングをはじめる前に『こうやって言っといてくれよ』と伝えないとね。(ミーティングで)僕が出しゃばってしまうと、二人のコーチも『俺が言うべきところだろ』『ヘッドがそこで言うんだったら、先に俺らに伝えてくれよ』って思うでしょうし。僕も若い時にそう思ったことがあるので(笑)」

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