「壊れちゃうんじゃないか」。日本ハム・栗山英樹監督が何度も見た清宮幸太郎の涙 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ichikawa Mitsuharu(Hikaru Studio)

── 清宮幸太郎選手はいかがですか。

「この3年間、幸太郎はケガもあって1年を通して、ちゃんと野球がやれていません。去年はエラーしたり打てなかったりで、幸太郎の涙を何回も見ました。壊れちゃうんじゃないかと心配になるほどの追い詰められ方をしているように僕には見えて。でも、ここで楽をさせたらそうやって苦しんだ経験が活きないとも思っています。ここを絶対に逃がしてたまるか、ここを乗り越えることができれば幸太郎はこのチームの揺るぎない軸になれるんだからと、そう思ってやってきました」

── 実際、今年のキャンプではケガもなく過ごしてきました。オープン戦も出場機会が限られるなか、ギリギリのところで踏みとどまっているイメージです。

「そうですね。ただ、たとえば外の甘い球をレフト方向へ打つ姿を見ていると、その結果がヒットでも、幸太郎はどうしたくてああいう打球になるのかなってところは気になっています。たしかに外角の球を強く振って、それがファウルになる、というアプローチが去年はずっと続いていました。だからヒットが欲しいという気持ちはわかるんですけど、外角の甘い球はガーンとセンターへホームランを打つイメージでアプローチしてほしいんですよね。それをミスショットして、ファウルになって、結局、追い込まれて三振、というのが嫌なのかもしれませんが......」

── 昨年は96試合に出て、ホームラン7本、打率.190。この3年間、残した数字はほぼ横ばいでした。4年目の今年は、一気に突き抜けた数字を求められますからね。

「左方向へヒットを打つという結果が出るのはうまく打てているからだし、うまく打てるのは悪いことじゃない。本当に幸太郎のよさを出していくためには、まずは結果を残して、自分の心の中の突き上げのようなものをなくさせるという考え方もあります。結果が出て、それから自然と自分のよさが出てくるという。

だから幸太郎に関しては、細かいことは言わないほうがいいのかな。ホームランを30本打たなくちゃいけないバッターだし、打てるバッターです。"うまく打つ"先に"強く打つ"があればいいわけだし。こっちは幸太郎に限らず、30本のホームランを打てるバッターをつくらなきゃいけない。もちろんジェイ(野村佑希)だって、その(候補の)1人です」

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