「ペース配分をするな」ラミレスが選手、監督として実践した「対パ」対策 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

 前回も今回も、ラミレス氏は「パ・リーグの投手は速球が速いので、打者は始動を早くしなければならない」と力説する。その点について、さらに質問を投げかけると、実にわかりやすい表現で「対策法」を説明してくれた。

「言葉で表現するとすれば、セ・リーグ投手との対戦は、『1、2、3、ゴー!』という感じだけど、パ・リーグ投手の場合は、『1、2、ゴー!』じゃないと間に合わない。そんなイメージで打席に立つ必要があるんです」

 当然、この教えはDeNA野手陣にも徹底していたという。

【ソフトバンク打線には左投手が有効】

 DeNA野手陣には「始動を早くする」という教えを徹底させた。一方で、投手陣に対してもラミレス氏なりの対策法があった。そのヒントは、ラミレス監督率いるDeNAとソフトバンクが対戦した2017年日本シリーズにあったという。

「あの年のポストシーズンは、雨の影響もあって日本シリーズ直前まで広島東洋カープとのCSが続きました。ようやく広島を倒して日本シリーズでソフトバンクと対戦することになり、時間のない中でデータを分析していて、『ひょっとしたら左ピッチャーが有効ではないかな?』と感じました」

 CSでのローテーションの兼ね合いもあって、日本シリーズ初戦は右投げの井納翔一が先発した。2戦目に先発した左腕の今永昇太は、敗れはしたが好投。そして、第4戦では同じく左腕の濱口遥大が8回途中までノーヒットノーランで勝利した。第5戦でも左の石田健大が好投し、ラミレス氏は確信を得る。

「濱口の投球を見ていて、『やはり、ソフトバンクには左投手が有効だ』と手応えを感じました。当然、交流戦でもソフトバンク戦では左ピッチャーを中心にしたローテーションを組むつもりでした」

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