2020.12.28

ソフトバンクとドラフトの面白い法則。
1位を外せば2位と育成が大当たり⁉

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 では、近年のドラフトはどうか。

 2018年のドラフトでは、小園海斗(報徳学園→広島)、辰己涼介(立命館大→楽天)を外し、東洋大の長身右腕・甲斐野央を1位指名で獲得した。この時の2位指名が、三菱重工広島の右腕・杉山一樹だ。

 2年目の今季、杉山は一軍で11試合に登板(16回2/3)し22三振を奪うなど、高いポテンシャルを発揮しつつある。最速157キロのストレートがコントロールできるようになれば、間違いなくチームにとって不可欠な存在になるはずだ。

 そして2018年の育成組からは、重田倫明(国士舘大)に注目している。ヒジの故障で大学時代はほとんど投げていないが、プロ入り後は順調に回復し、三軍で安定した投球を続けている。芯でとらえても打球が失速してしまうほど破壊力を帯びた速球で、まずはウエスタンで実績を挙げることだ。

長谷川勇也のヘッスラに見た勝者のメンタリティ>>

 2019年のドラフトでも、松田宣浩の後釜にと見込んだ石川昂弥(東邦→中日)を1位で指名したが、またしてもクジで敗れた。結果、1位でJ R西日本の外野手・佐藤直樹を獲得し、2位で東海大の強肩捕手・海野隆司を指名した。

 海野は1年目、春先にヒジを痛めて出遅れたが、ウエスタンリーグで経験を積んだ。肩、ヒジのコンディションが万全なら、甲斐以上の送球スピードを感じる鉄砲肩だ。2番手捕手としてチームの精神的支柱だった高谷裕亮がヒザの手術を受けたことで一軍に昇格し、巨人との日本シリーズでもベンチ入りを果たした。チャンスは目の前にやって来ている。

 そして今年のドラフトでは、佐藤輝明(近畿大→阪神)をまたまた逃してしまったが、2位で高校球界有数の大砲候補・笹川吉康(横浜商)を獲得した。

 今夏、神奈川の独自大会で横浜スタジアムのライト中段に放り込んだ弾道は、柳田悠岐を彷彿とさせる。本格化するにはまだまだ時間を要するだろうが、球界屈指のスラッガーになる可能性は大いにある。

 昨年、今年と合わせて15人獲得した育成ドラフト組はまだ未知数だが、これまでのようにアッと驚く"逸材"が現れたとしたら......。

 ドラフトとはすべて結果論である。ドラフト制度が始まって今年で55年。これだけ長く続いている制度ならば、そのなかからある種の「傾向」や「法則」があっても不思議ではない。だからどうだ......という話ではないが、こういう視点でチームを見るのもたまにはいいものだ。

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