ノーヒット・ノーラン、2ケタ勝利...ヤクルト小川泰弘、再飛躍の理由

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 10月24日、ヤクルト・小川泰弘は神宮球場での中日戦に先発し、6回を投げ10安打を許しながらも粘りのピッチングで今季10勝目を手にした。じつに5年ぶりの2ケタ勝利。試合後、小川は安堵の表情を見せた。

 約3カ月遅れで開幕したプロ野球もいよいよ最終盤に差しかかった。ヤクルトは最下位を抜け出すことができず、とくに投手陣は苦しい戦いの連続だった。

5年ぶりに2ケタ勝利を達成したヤクルト小川泰弘5年ぶりに2ケタ勝利を達成したヤクルト小川泰弘 そのなかで小川は、今シーズンここまで(10月26日現在)18試合に先発登板し、クオリティスタートは11回。8月15日のDeNA戦(横浜)ではノーヒット・ノーランの快挙を達成した。なにより、チームの連敗ストッパーになること6回と、シーズンを通して"エース"と呼ぶにふさわしいピッチングを続けてきた。

 今年8月、小川は自分の果たす役割についてこう語っていた。

「僕自身、5回、6回を投げて勝ち投手になったとしても満足しないですし、求められるところは、ひとりでも、1イニングでも多く投げることだと思っています。

 さらに「次の先発投手にいい影響を与えるピッチングを意識しています」とも話し、ノーヒット・ノーランを達成した試合についてはこう振り返った。

「あの試合でいえば、チームは5連敗中だったので、勝ち切るという意味では流れを変えられた部分はあると思います。勝ち方やピッチング内容、相手打者への攻め方は、次の先発投手やチーム全体に影響すると思うので大事にしていきたいです」

 9月には好調の要因を「ストレート中心に押していく投球ができることだと思います」と語り、こう続けた。

「真っすぐは去年よりもいいですし、前半よりもよくなっています。落ち球のコントロールもよくなっていて、試合のポイントとなるところで抑えられていることも大きいです。試合の流れ、バッターを見ながらのピッチングができていると思います」

 今回、自身3度目の2ケタ勝利を飾った小川は、プロ1年目の2013年に16勝をマークし最多勝と新人王を獲得。3年目の2015年にも11勝を挙げたが、それ以降は順風とはいえないシーズンが続いていた。

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