「私が入っていいのか...」。DeNAが
NPB初の女性ATを採用。その意義と意味 (2ページ目)
晴れて採用されることが決定。林ATの行動はシンプルではあるが、そこに強い意志がなければ道を拓くことはできない。プロ野球初の女性トレーナーになるには、これくらいの突破力がなければ難しかったかもしれない。
初めて踏み込んだプロの世界。いわばルーキーである彼女は、懸命に自分に与えられた仕事をこなしている。
「皆さんトップでやられている方たちなので、絶対に中途半端なことはできないですし、勉強せずにはいられないという感じですね」
現在はファームと一軍を行き来しながらSCを担当している。練習前のウォーミングアップの指示やランニング、ウエイトトレーニングのメニューをつくるのがおもな仕事だ。初めて目の当たりにするプロの世界はどのように映っているのだろうか。
「ギラギラとした緊張感のあるイメージで、私が入っていっていい世界なのかと......正直、不安はあったのですが、ATの先輩たちや選手たちにすごく気さくに接してもらっています。とくにファームの選手たちとは一緒に成長させてもらっているといった感じですね。また練習とそれ以外の時間のメリハリがはっきりしているのがすごいなって」
明るく闊達な同世代の選手たちとともに研鑽に励んでいる林ATだが、やはりこの仕事の難しさは一事が万事、画一的ではないということだ。
異なる選手個々のコンディションをいかに見極めるかが重要だという。ハードコンタクトは少ないが、試合数が多いプロ野球選手は、ほかの競技とは異なるコンディショニングが必要となる。
「ほぼ毎日試合があるので、回復する時間が少ないんです。そこでいかに練習量を加味しリカバリーさせるかは気を遣っています。また先輩S&Cと一緒に先発投手のコンディショニングチェックというのをやらせていただいています。睡眠時間や心拍数、またウエイトやランニングの疲労度というのを毎日うかがって記録しているので、そのデータを今後有効に使えていけたらと考えています」
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