DeNAがオースティンを獲得した手法「ブレンディング」とは何か? (4ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 以前とは変わりつつある外国人選手の獲得状況において、DeNAはどのように対応していくのだろうか。壁谷氏は考察を深める。

「たしかに、ソフトバンクがMLBドラフト1巡目のスチュアートを獲得するなど、以前では考えられないようなことが起きています。またメジャーも若返りが進み、脂の乗りきった選手が日本に来ることもあります。ですから、そこは凝り固まったビジョンではなく柔軟に対応していきたいですね。常に国際担当スカウトと議論しながら、いま何が起きているのかしっかり把握していきたいです」

 また今年はコロナ禍の影響もあり、スカウティングの主な市場であるマイナーリーグがストップしている。これは来季以降にどのような影響が出ると考えられているのか。

「今の状況はチャンスであり、ピンチでもあります。チャンスというのは、プレー機会を求めて、これまで以上に日本に来たがる選手が増える可能性があります。ピンチは、ご存知のとおりアメリカでのスカウティング活動が満足にできないということです。渡米することができず、ビデオでしかチェックすることができません。今後を考えれば不安はありますが、いろいろと方策を練っていきたいと思います」

 条件は他球団も一緒であることを考えれば、これまで革新的なアイデアで行動力を示してきたDeNAなら、きっと打開策を見つけるに違いない。壁谷氏の言葉にも力が入る。

「先程も言ったように、我々の方針はスカウティングとアナリティックをブレンディングしていくこと。そこは変わりなく武器にしながら変化にも対応し、チャンスをつかんでいきたいですね」

 ピンチをチャンスに変えることができるのか。DeNAの外国人獲得戦略の今後がさらに楽しみだ。

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