DeNAがオースティンを獲得した手法「ブレンディング」とは何か? (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 DeNAは黎明期に、現在監督を務めるアレックス・ラミレスをはじめ、トニ・ブランコ、ホルヘ・ソーサ、アーロム・バルティリス、そしてホセ・ロペスなど、NPBで実績のある外国人選手を積極的に獲得してきた。

 これは当時の高田繁ゼネラルマネージャーの意向であり、コアになる日本人選手が少ないなか、「外国人選手は失敗できない」という理由から、多少コストがかかっても実行してきた施策である。だが時代は変わった。

「予算が潤沢な球団であれば、日本で活躍した外国人を獲得するのは可能でしょうが、それでは持続性が生まれません。DeNAはそういった方針の球団ではありませんし、戦略として自前で発掘をして、予算内に収め、持続性を生むことが求められます。その流れになったのは、2016年から2017年あたりだと思います」

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 そしてもうひとつ、球団が外国人選手に関して新たに取り組んでいるのが"育成"だ。

 DeNAは2018年からドミニカ共和国でトライアウトを行ない、有望な若い選手を発掘。昨季はドミニカ出身のレミー・コルデロ(投手)、今季はベネズエラ出身のジョフレック・ディアス(投手)、ドミニカ出身のフランディー・デラロサ(野手)と育成契約をしている。いずれも20代前半のダイヤの原石であり、今後の成長に期待が高まる。

「ビジネスでいえば、オースティンのように日本人だけでは足りない部分を外から持ってきて戦力化するという意味から"M&A"、また育成に関しては、小さく投資して大きく花を開かさえようということで"インキュベーション"。今後は、この両輪をもって外国人選手戦略を進めていけたらなと考えています」

 時代や情勢は変化するものであり、前提が覆ることも当然ある。今季はメジャーの情勢もあり、アダム・ジョーンズ(オリックス)やアルシデス・エスコバー(ヤクルト)といった実績のある選手が来日している。

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