ヤクルト山崎晃大朗に「二軍に落ちるぞ」。石井琢朗が2年前に伝えたこと (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 2年目は4月12日に一軍登録されるも、23日には二軍降格。ファームに落ちた当初は落ち込んで何も考えることができなかったというが、徐々に自信を取り戻し、打率、盗塁でイースタンリーグ1位の結果を残し、7月25日に再昇格を果たした。

「二軍にいたこの3カ月、自分が今までやってきたことはなんだったんだろうと......。そのなかでコーチたちと話し合い、自分のスタイルを確立できそうな手応えを感じることができました。粘り強さ、スピードやつなぎの意識、フライを上げずに強く低い打球をセンターから逆方向へ......そこを目指して取り組んできました」

 一軍昇格後の早出練習では、飯原誉士(現BCリーグ/栃木ゴールデンブレーブス)と外野のポール間をランニングしてからの杉村コーチとのティーバッティングが日課となった。

「飯原さんからは『自分の考えをしっかり持ち、しっかり準備をして打席に入ることが大切だよ』と教えてもらいました」

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 この年、山崎は59試合の出場を果たしたが、シーズン96敗というチーム事情がもたらした出場機会であった。当時の監督は真中氏で、退任を発表したあと、山崎をはじめ、奥村展征や藤井亮太といった若手について、こんな話をしている。

「正直、僕のなかで、彼らが来年レギュラーを獲るイメージはまったくありません。現状のヤクルトだから試合に出られただけですからね。本人たちもそこはわかっていると思いますし、自分の力でレギュラーをつかみ取るんだという気持ちでやってほしい」

 2018年、ヤクルトは前年からの再起を目指し、小川淳司監督、宮本慎也ヘッドコーチ、石井琢朗打撃コーチ(現・巨人野手総合コーチ)らの新首脳陣で始動。さらに、メジャーから復帰した青木宣親も話題となった。

 その年の春季キャンプで、山崎に青木について聞くと、「なんと言うんですかね......」とポツリポツリ話し始めた。

「青木さんの入団の記事が出たのは1月30日の朝でした。ちょっと落ち込んだというか、突然、目の前に大きな壁が現れたというか......。去年は59試合に出させてもらい、なんとかレギュラー争いに食い込みたいと思っていた矢先のことで。でも、現実を受け止め、このキャンプでは青木さんの練習を見ることができるので、今はマイナスとは考えてないです」

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