ブライアントがアンビリーバブルな一発。西武に連勝→近鉄を逆転Vに導いた (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

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 事実上の決勝戦となったのが、10月12日、西武球場で行なわれた西武vs近鉄のダブルヘッダーだった。

 この時点で1位が西武、2位が近鉄、3位がオリックス。3チームが1ゲーム差にひしめく大混戦で、近鉄が優勝するためにはダブルヘッダーの連勝が必須。対戦相手が王者・西武であることを考えると、ロッテオリオンズとの「10・19決戦」で涙を飲んだ前年以上にハードルは高かった。

 第1戦、近鉄の先発投手・高柳出己が4点を奪われ、2回途中でノックアウトされた。落胆する近鉄の選手たちの目を覚まさせたのが4番・ブライアントの一発だった。西武の先発、郭泰源から打ったホームランがライト上段にライナーで突き刺さった。

 しかし王者もソツがなく、5回裏に1点を追加して1-5。主導権はしっかり握ったままだったが、6回表に試合が動く。ノーアウト満塁の場面で打席に向かったブライアントが、郭が投じた初球を再びライトスタンドに運んだ。5-5の同点。劣勢を跳ね返した近鉄ベンチはお祭り騒ぎになった。

 8回表の近鉄の攻撃。西武の森祇晶監督は渡辺久信をマウンドに送った。1989年のブライアントとの対戦成績は、この試合の前まで18打数4安打、7三振。1本もホームランを許していなかった。

 2ストライク、1ボールから渡辺が投じた高めのストレート。ブライアントが力の限りバットを振り抜くと、打球はライトスタンド上段に飛んでいった。渡辺は打球の方向を見て、マウンドにへたり込んだ。

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