八重樫幸雄が獲得を喜んだ右腕。ハズレ1位でも「藤浪よりよかった」 (5ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――さて、翌2013年はヤクルトに入団した北海道・東北出身の選手はいません。この年のヤクルトは1位で大瀬良大地(九州共立大学)を外して、杉浦稔大(国学院大学)を指名。以下、2位・西浦直亨(法政大)、3位・秋吉亮(パナソニック)、4位・岩橋慶侍(京産大)、5位・児山祐斗(関西高)、6位・藤井亮太(シティライト岡山)と続きます。

八重樫 大瀬良はもちろん好素材だったけど、ヤクルトの中では杉浦の評価が高かった。ただ、線が細いというのか、体力強化は必要だったよね。この年もやっぱり「即戦力投手がほしい」というのが最大の課題でしたから、杉浦を指名したんだよね。杉浦は北海道出身だけど、帯広大谷高校時代は、まだスカウトになる前だったので見ていないですけど。

――13年のヤクルトには八重樫さんの担当した選手は入団していませんが、この年の北海道・東北出身者で印象に残っている選手はいますか?

八重樫 言い方は悪いけど、この年は「これはすごいぞ」という選手はそんなにいなかったですね。松井裕樹(桐光学園高校)に注目が集まっていたけど、個人的には「鍛えれば伸びるだろうけど、まだまだ粗削りな部分が多いな」という感じだったかな。東北の高校で言えば上林誠知(仙台育英高校)が印象に残っています。

――上林は、ソフトバンクから4位指名されていますね。

八重樫 バッティングもいいし、肩も強くて守備もよかったんだよね。ただ、肩を故障していたんで「今はまだ無理だな」と考えてノーマークだったんだけど、ソフトバンクが4位指名。「じっくり肩を治してから育てよう」というチーム方針があったから指名したんだろうね。いい選手だったけど、チームの補強方針から言っても、育成環境から言っても、あの当時のヤクルトでは指名できなかったのが現実だよね。

(第21回につづく)

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