山田哲人が赤裸々に語る「10年前の自分、トリプルスリー、東京五輪」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 個人としての数字については、「一つひとつの項目で、今まで以上の成績を残すことができればと思っています」と言うが、求められるハードルが高くなることにストレスを感じることはないのだろうか。

「正直なところ、すごくやりづらいです。でも、そういう(プレッシャーの)なかでやってきた方は過去にたくさんいます。僕は2017年に(高いレベルの成績を)続けることの難しさを初めて学んで、その時に何年も何十年も活躍を続ける人はすごいと思いましたし、僕にとってトリプルスリーは永遠の目標です」

 2月23日、山田はチームの遠征には帯同せず、青木、エスコバーらとともに居残り調整となった。練習を見守っていた杉村繁打撃コーチは、山田について次のように語る。

「山田と出会ったのは、彼の入団3年目の時だったかな。当時、僕は二軍の打撃コーチだったんだけど、山田に『どんなバッターになりたいんだ』と聞いたんです。すると、『ホームランを打ちたい』と。そこで『バレンティンみたいに打てるのか』と問うと、『それは無理です』と言うから、『だったら広角に打って打率を残し、ホームランを10本から20本打って、30盗塁すればプロの世界で長く生き残れるだろう』と。すべてはそこから始まりました。

 10年目を迎えベテランの域に入ってきたけど、打率、本塁打、打点、盗塁とすべての部門で常にトップ争いをしている。なによりケガに強い。今も大学生みたいな体つきだけど、どこにそんなパワーと強靭な精神力があるのか......。いつも不思議に思っています(笑)。それにしても年々、大人になっていますよね。後輩の面倒も見るというか、自覚や責任感も出ている。シンプルに、いいプロ野球選手になったなぁと思います」

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