2019.12.27

楽天・石橋良太がシュートでサプライズ。
支配下→育成→支配下でも生き残る

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 8勝7敗、防御率3.82。プロ野球の投手としては、特筆すべき成績ではないかもしれない。しかし、その数字が楽天・石橋良太のものとなれば話は別だ。

 プロ4年目。これまで一軍での登板は1年目のわずか6試合のみ。それが今季は28試合に登板し、シーズン途中からは先発に転向。楽天のローテーション投手として役割を果たした。

今シーズン、28試合に登板し8勝をマークした楽天・石橋良太 サプライズ——プロアスリートにとっては失礼な表現かもしれないが、誰もが石橋をそう評した。そのことを本人に告げると、さほど気にしていない様子でこう語る。

「去年なんて、二軍どころか三軍でも投げていたくらいなんで。それで今年、いきなり(一軍で)出たもんだから、みなさんの印象としてはそうなんじゃないかなって思います」

 石橋はこれまで、ただ二軍でくすぶっていただけの選手ではなかった。昨年の途中まで、育成選手だったのだ。

 2015年のドラフトで楽天から5位指名を受け入団。支配下選手として入団しながら、2年目の2017年シーズンオフに戦力外となり、育成選手として再契約した。この頃から石橋は、常に「クビ」を覚悟していたという。

「去年なんかは、正直、クビになるだろうと思っていました。支配下で入って、育成になって、また支配下に。でも、そこで活躍する選手っていないじゃないですか。育成になった時から、そういう悩みはありましたね」

 たとえば、ケガによって一時的に育成選手となったのであれば、復帰後にチャンスは与えられるかもしれない。しかし、石橋のように実力を判断されて降格した選手は、常にクビと隣り合わせが現実だ。

 そんな石橋が苦悩にさいなまれながらも上昇気流に乗れたのは、二軍でしがみつきながら”武器”を磨いてきたからだった。

 2018年のシーズン途中から再び支配下となり、一軍登板こそ果たせなかったものの、二軍ではおもに先発として24試合に登板。わずか2勝ながら、83回2/3イニングを投げて防御率2.58と結果を残した。

 この数字を実現させた武器こそ、のちに石橋の代名詞となるシュートだった。