名コーチがプレミア12で分析。国際大会で打てる選手と打てない選手 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Getty Images

 ここで、今回のプレミア12に出場した侍ジャパンのおもな選手の成績を見てみたい。

鈴木誠也/8試合/打率.444/3本塁打/13打点/3三振/5四球
浅村栄斗/7試合/打率.360/0本塁打/6打点/6三振/4四球
菊地涼介/7試合/打率.333/0本塁打/4打点/3三振/1四球
坂本勇人/7試合/打率.308/0本塁打/1打点/7三振/1四球
丸佳浩/8試合/打率.214/0本塁打/3打点/7三振/5四球
山田哲人/8試合/打率.200/1本塁打/6打点/4三振/6四球
近藤健介/8試合/打率.190/0本塁打/3打点/9三振/9四球

 坂本も打率こそ3割を残したものの、大会序盤は本当に苦しんでいた。もともとインコースは強く、アウトコースの球に課題のあるバッターだが、プレミア12では外のスライダー、カット系のボールはほとんど空振りだった。

 メキシコ戦だったと思うのだが、インハイの球をレフト線に詰まりながらタイムリーを放った打席があったが、あのあたりからいつもの坂本に戻りかけているなと思って見ていたが、完全に戻る前に大会は終わってしまった。それでも大会終盤は悪いなりにも結果を出すのだから、さすがと言うしかない。

 一方で坂本のチームメイトである丸は、最後まで調子を取り戻せなかった。坂本とは反対に、丸はアウトコースをうまく打つが、インコースは苦手だ。日本シリーズでソフトバンクバッテリーに徹底的に攻められた後遺症がまだ残っていたのかもしれない。

 それにしても各国とも、坂本にはアウトコース、丸にはインコースをきっちり攻めていた。日本シリーズの映像を入手して研究していたのだろうか。彼らに限らず、ほかの打者にも知っていなければ投げないコース、球種をうまく使って攻めていた。

 国際大会はデータが少なく、一発勝負のように思われがちだが、近年はどこの国もデータをしっかり収集し、研究したうえで試合に臨んでいる気がする。

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