井端弘和がセ新人王を予想。近本と赤星の違い、村上の低打率も解説した (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――そんな赤星さんとは違った、近本選手の魅力は?

「打撃でしょうね。赤星もプロ3年目の2003年シーズンからヒットを量産するようになりましたが、今年の近本は1年目の赤星(128安打)を超える159安打を記録しました。また、彼には9本塁打を放った長打力もあります。オールスターではサイクル安打も達成しましたけど、そこをさらに伸ばしていってもらいたいです」

――シーズン中盤には、少し調子を落とした時期もあったように思いますが。

「プロはシーズンが長いですし、開幕から出場を続けていたわけですから疲れが出て当然です。ただ、スランプ気味になったところから、終盤にかけて調子を戻してきたところが、確かな実力がある証拠。近年、なかなか定まらなかった阪神のセンターのポジションを不動のものとしたことは、チームにとっても大きい。阪神がシーズン3位になることができた"立役者"のひとりであったことは間違いありません」

―― 一方で、村上選手についてはいかがですか?

「高卒2年目の19歳で36本塁打を打ち、"怪童"と言われた中西太さんの記録と並んだだけでも称賛に値します。打点もリーグ3位の96を記録しましたしね。そして何より、シーズンを通してフル出場したことがすごいですよ。ヤクルトが我慢して使っていた部分もあるとはいえ、ケガなく1年間プレーできたことは、それだけでも勲章ものです」

――村上選手は昨シーズン終盤に一軍デビューを飾り、本塁打も1本打っていますが、今シーズンにここまで活躍すると予想していましたか?

「昨年にイースタンリーグの試合を見ていた時から、『すごい選手だ』と思っていました。ホームランは17本、打率も3割近い数字を残したので、『率も残せる選手なんだな』という印象でしたね。今シーズンは、ホームランよりも打率が上がってくると予想していたんですが、反対の結果になりましたね(笑)」

――打率の低さと、セ・リーグ新記録を樹立してしまった三振の多さ(184三振)が気になるところですが。

「一軍の投手を相手に、追い込まれてからの対応に苦労していましたね。アウトコースのワンバウンドになるような変化球にも手を出していましたから。ただ、シーズンが進むにつれて、若干ではありますが見極めができるようになった印象があります。

 また、ランナーの有りなしでタイミングの取り方も今後の課題だと思います。ランナーなしで投手がワインドアップで投げている時は、投球のリズムはあまり変わらない。一方で、ランナーが出て投手がクイックモーションとなると、けん制などもありますし、タイミングを合わせる必要があります。ランナーの有無で攻め方も変わりますから、村上はそこに戸惑っていたように見えました。ソロホームランが多かったのも、それが原因でしょうね」

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