Aクラス奪還目指す中日。ドラフトで地元の逸材を獲得して人気回復だ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ならば、こちらも地元出身の本格派右腕、東海理化の立野和明だ。森下や奥川に比べて知名度は高くないが、実力はたしかである。柔軟性、バランス、パワー、ベース上での体感速度、変化球の精度......長所を挙げればいくらでも出てくる。「愛知にこんなすばらしいピッチャーがいたのか」と驚く人もいるかもしれない。Aクラス奪還とともに、"人気回復"も中日の大きなテーマだ。立野もその役割を担ってくれる選手であろう。

 投手以外のポジションはどうか。武山真吾、杉山翔大が退団し、松井雅人も今シーズン、トレードでオリックスに移籍。捕手の選手層が急激に薄くなっている。もともと手薄だったところに3人も減ったのだから、ドラフトを含め捕手の強化は急務だ。

 とはいえ、1年目の石橋康太がウエスタンリーグ終盤は「4番」を任されるなど、将来の正捕手候補として経験を積んでおり、捕手しかできないより融通性のある選手の方がチーム事情にフィットしている。

 そう考えると、海野隆司(東海大)より、50mを6秒ちょっとで走る脚力があって、もともと内野手だった佐藤都志也(東洋大)になってくる。2位で獲得できればいいが、1位で消える可能性もある。その時は一転、山瀬慎之助(星稜)や江川侑斗(大分高)の高校生にシフトするのもありだろう。

 さらに、将来のことを考えて、平田良介のような右打ちの外野手もほしいところだ。3位あたりで佐藤直樹(JR西日本)はどうか。足と肩なら、今の中日外野手陣のなかではトップだろう。まだ粗っぽさが残るバッティングだって、インサイドアウトのスイング軌道を覚えたら、大化けの可能性もある。

 冒頭でも述べたが、戦力は悪くないし、楽しみな若手も着実に育っている。それだけに"中日復権"に向けて、今回のドラフトの意味は大きい。

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