「けっこう恥ずかしい」雄平語録。コロコロ変わる打撃の形は探求心の証 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 8月27日には打率.297まで上昇したが、9月に入るとまた変化が起きた。

「絶不調だよ。3試合でヒット1本。内容もよくない。(中日の)三ツ間(卓也)の145キロが155キロに見えた」(9月3日)

「昨日、2本のヒットでちょっとよくなってきたかも。左足のこのあたりに力が乗らなかったから、ステップ幅を小さくしてみるよ」(9月5日)

「どうなってんだ、打てない。でも、規定打席に達したよ。選手にとって規定到達は大事だからね。うれしい」(9月6日)

「どうなってんだ。今年は左ピッチャーから3割打っていたのに、この4試合で2割7分ぐらいになっちゃった。今日は(試合に)出られないだろうなぁ。結果が出てないから仕方ないけど......石ちゃん、今日もありがとう」(9月7日)

 石ちゃんとは石田哲也打撃投手のことで 、"ひとり早出"で雄平にトスを上げている。この"雄平語録"のほとんどは、石ちゃんとの会話のやりとりである。雄平は石ちゃんに感謝する。

「石ちゃんは自分の仕事の準備を早く終わらせて手伝ってくれています。僕自身が甘えている部分はありますけど、ああでもない、こうでもないとバッティングのことを話しながら付き合ってくれる。石ちゃん、本当にありがとう」

 9月8日、神宮球場での巨人戦は台風接近により中止となった。雄平は「この中止はありがたいです」と言って、2本のバットを手に室内練習場に向かった。途中、「今日は中止ですよー」と告知しながら、ファンからのサインや記念撮影に応じていた。

「感じは悪くないのに、なぜ感覚がズレているのか。とりあえず、いま考えていることを試すことにします。今の状態であれば、足を高く上げないフォームがいいのかなと。おそらく、僕自身に疲れがあり、その状態で足を上げるのでブレているんじゃないかと。自分のイメージと実際のポイントがズレているからファウルになったり、いい当たりで終わってしまっている。哲人は若いということもありますが、疲れが出るこの時期でも足を高く上げてもブレないからすごい」

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