「けっこう恥ずかしい」雄平語録。コロコロ変わる打撃の形は探求心の証 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

「坂本とギータ(柳田)もやっていましたね、恥ずかしいなぁ(笑)。哲人のは完全にマネです。こういう打ち方をしたいと思っていたところ、哲人の打ち方に当てはまることに気づいたんです。ならば、マネをすればいいんじゃないかと。哲人はスイングスピードも速いけど、バットを鞭(むち)のように使いますよね。これは慎也さん(宮本ヘッドコーチ)から言われていたことで、柔らかく握ってスイングすることでバットがしなる。だから哲人は、細身だけど強いボールを打てるんです」

 雄平の"ひとり早出"は、ほかの選手が球場に姿を見せる頃に始まり、その姿を見れば誰もが声をかけずにはいられなくなる。

「雄平、朝からティーバッティングをやりすぎじゃねえのか(笑)」(小川淳司監督)

「雄平、プライベートサングラスで練習するなよ(笑)」(河田雄祐外野守備・走塁コーチ)

「雄平、安心しろ。(先発メンバーに)名前入ってたぞ」(衣川篤史バッテリーコーチ)

「昨日ホームラン打ってるんだから、今日は(ティーを)やらなくていいんじゃないの。また(フォームを)改造する気でしょ(笑)」(青木宣親)

「雄平は打者に転向してからの通算打率が2割9分7厘ってすごいよな。1000本安打まであと少しというのもすごい」(石川雅規)

 なにより面白いのが、石井コーチと雄平のティーバッティング中の会話だ。

「打つ時に顔の軸がブレていることに気づきました」(雄平)
「おまえは心の軸がブレるからいけない。自分から悪い方にいってしまう」(石井コーチ)
「アーッ(笑)」(雄平)

「ほかの選手のバットも触ったけど、オレはおまえのバットが一番扱いやすい」(石井コーチ)
「この形はバランスがいいんですよね」(雄平)
「おまえは扱いづらいけどな(笑)」(石井コーチ)
「アーッ(笑)」(雄平)

 石井コーチに雄平について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「彼を支えているのは探求心ですよね。本当に毎日毎日、あきないのかと思うぐらいバットを振る。実績で言えば、青木や山田なんでしょうけど、若い選手は雄平のバッティングへの姿勢という部分を見習ってほしい。守備とか走塁はマネしなくてもいいけど(笑)」

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